これまでにも国際機関志望者からの質問に何度かお答えしています。
> 国際機関で働くには語学力も問われます
ハッキリ言います。大学で学ぶ語学は国際機関への就職にはまったく
関係ありません。国際機関に限らず、大手メーカーや商社の駐在員など
語学力を求められる仕事は少なくありませんが、大学での語学学習歴を
問われることはありません。
これはもちろん、語学力が必要ないという意味ではありません。国際
機関で働きたい人は、英語くらいできて当たり前なのです。私も駐在員
でしたが、大学での英語授業は何の参考にもなりませんでした。駐在員
などを目指すなら、自力で TOEIC のAランクを目指しましょう。それが
できないようでは失格なのです。
さらに、国際機関が求めているのは語学が得意な人ではなく、なんらか
の分野で専門的な知識を持っている人です。ILOなら労働法の基礎知識
がある人、ユネスコなら文化財の知識や教育学、世界銀行なら金融の知識
が必要となります。国際政治学なんて、ほとんど役に立ちません。
その上で一橋と筑波の比較ですが、正直なところあなたの資質次第なので
どちらでも大丈夫です。ただ一般論ならば、やはり一橋を選ぶべきでしょう。
前述のような駐在員を派遣する企業への就職は、一橋のほうが上ですからね。
> 筑波大や一橋大よりも早慶上智などの私立の方が国際公務員には向いているのでしょうか?
そういう区分けはありません。たとえ早慶上智から国際公務員になった
人が多いとしても、それは学生数が何倍も違うことが主因と言えましょう。
早稲田だけで一橋の 10 倍くらい、学生がいます。また、一橋や筑波出身
なら、多くの企業では幹部候補生として採用されます。そのため、一橋や
筑波から国際公務員を目指すという人自体が少ないのです。
なお、大学に入っていろいろ学ぶと、「 国際公務員を目指す 」という目標
そのものが陳腐に思えてくるかもしれません。いい年齢のオッサンの私に
言わせれば、国際機関を目指す人は単に、海外で働くことへの憧れが強い
のでしょうね。でも大手企業ならどこでも海外駐在のチャンスはあります。
私の知り合いで、弱小の工科系大学を出て自動車部品メーカーに勤めて
いる人がいます。彼でさえトヨタだか日産だかの米国工場に長期出張する
ことがあります。海外で働くことはいまや、珍しいことではありません。
お礼
大変参考になりました。 ありがとうございました。