セルモーターを回してエンジンをかけるときはセルモーターに大電流が流れ、バッテリーの端子電圧(公称12V)が落ちます。バッテリーの劣化状態にもよりますが、8V以下になることもあります。
車用のオーディオ機器は、バッテリーの電源電圧が大きく変動することを想定して設計しているはずですが、セルモーターを回すことによる大幅な電圧低下(それもバッテリーの状態に左右される)に対応できないものもあるでしょう。
オーディオ機器(に限りませんが)には通常、電源回路に大容量の「電解コンデンサ」を入れてあります。この電解コンデンサの主要な役割のひとつに、電気エネルギーを蓄え電源電圧不足があってもほんの一時的にはそこから不足分を供給できるようにすることです(ただし、これも設計によって大きな差があります)。大容量の電解コンデンサを電源回路にもっているオーディ機器では、バッテリーの電圧が12Vから8Vに落ちても、(ごく短時間であれば)内部では12Vからあまり電圧が落ちません。また、内部回路はたとえば6Vで動作するように設計してある機器も珍しくありません。この場合はバッテリー電圧がたとえ8Vに落ちても、問題なく動作するわけです。
以上のようなわけで、オーディオ機器にはセルモーターを回すことによるバッテリーの電圧低下に耐えられなくて、電源が落ちるものもあれば、ほんの一時的には耐えられるものもあり、問題ないものもあるのです。オーディオレベルメータの電源が落ちないのは、たまたまそんな設計になっているからでしょう。ひょっとしてバッテリーの劣化具合が進めば、全部の機器の電源が落ちることもあります。
なお、セルモーターを回す(エンジンをかける)ときは、ヘッドライト、ストップランプ、エヤコンなど、電流消費の大きな電気機器のスイッチは切っておくのがバッテリーにやさしい操作になります。