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古典調律の調性感
- 古典調律における鍵盤楽器の調性感とはどのようなものなのかについて知りたいです。
- 中全音律で調律された鍵盤楽器で原調の曲と二度上に移調した曲を聞き比べると、和音の響きには明らかな違いがあるようです。しかし、その違いは全ての和音において起きるものなのか、それとも一部の和音に限られるものなのかについても知りたいです。
- 具体的には、ト長調とイ長調、ト短調とイ短調の組み合わせについて、それぞれの和音の響きの違いを調べてみたいです。
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こんにちは。 まず,音の高さそのものが違うことによる雰囲気の違いはあるように思います。ト長調よりもイ長調の方が明るく輝かしかったり,ト短調よりイ短調の方が厳しい雰囲気があったりするかもしれません。 ただ,これは調律が中全音律である事とは関係ありません。 中全音律というのがどのようなものなのか,質問者さまがどの程度ご存知か分かりませんが,ある特定の三度や五度を使わない和音では,響きは同じです。(⇒余談参照) ト長調,イ長調,ト短調,イ短調での一般的なコード進行でしたら,響きが異なる和音は出てきませんから,例に挙げていただいているコード進行でしたら,音の高さそのもの以外の部分での,和音の響きとしての差はない・・・はずです・・・(理屈はともかく,耳の方にはちょっと自信がないですが,笑)。 では,なぜ調性感というような事が言われるのか?,ですが,次のような理由があると個人的には思っています。 ・音の高さそのものから直接に雰囲気の違いを感じ取る ・ある音律で特殊な響きを出す音程・和音が出てきたりすると,それが曲調に影響を与える。 (途中の転調まで含めれば,二度違いでもほぼ必ずどこかで何かしらの響きの違いは生じると思います) ・音律ではなく,楽器の構造が影響する(たとえば,ニ長調やイ長調は弦楽器が明るく響きやすい) ・♯:半音「上げる」,♭:半音「下げる」,という行為が,人間の演奏にある心理的な効果を及ぼす(♯系は明るく輝かしく,♭系は優しく穏やか) ・○調には××な雰囲気,という伝統に基づいて作曲家が曲を作っているから。 ・○調には××な雰囲気,という知識から,その調を聴くと,反射的にそういう気分になる。 といったところではないかと,漠然と想像しています。(単なる憶測です,念のため) --- (余談)中全音律とは(既にご存知で余計なお世話,あるいはマニアックすぎで過剰説明かもしれませんが・・・) 中全音律では,Cから完全五度を4回重ねると現れるEが純正な長三度になるよう,完全五度の幅を純正よりも狭くしています。 つまり,中全音律とは,なるべくたくさんの長三度が美しく響くようにと考えられた調律方法で,次のように調律します。 C-G-D-A-E:C-Eが純正になるように,五度を純正な完全五度よりも狭く Es, H:Gの長三度上下 B, Fis:Dの長三度上下 F, Cis:Aの長三度上下 Gis:Eの長三度上(Cの三度下のAsとして取る場合もあるらしいです) と,これでピアノの鍵盤のオクターヴ上の音が全部登場してめでたしめでたし,のようですが,実はそうではありません。 たとえば,Gの長三度上として作ったHのさらに長三度上のDisですが,Esでも一緒だから,と思ってこの長三度の音を出してみると,すごく濁った響きになっています。つまり,DisとEsは同じ高さの音になっておらず,レとミの間の音が「ミ♭」とみなされる時は問題ないけれども,「レ♯」とみなされる時には不都合を生じます。 これは,他にも,上に登場しなかったGes(≠Fis),Des(≠Cis)を使う時も同様です。 したがって,中全音律では,これらの音を使う調(例えば,DesやGesを使う変二長調や,Disを使うロ長調など)が基本的には使用できないとされています。一度,イ長調からもう一回二度あげて,ロ長調にしてみると違いが出てくるかもしれません。 逆に言うと,これらの音が出てこない時は,中全音律だからといって響きに違いは生じません。質問者さまが例に挙げた場合はそうだと思います。 ただし,最初にも申し上げましたが,実際の曲中では転調があるため,例のコード進行が違わないからといって,ト長調とイ長調の響きが違わない,と結論づける事はできません。(実際の曲で検証したことはないですが) なお,古典調律についは,かなり詳しい説明が載っているインターネットサイトもいくつかありますので,そちらを参考にしてみるのもよいと思います。
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- hitokotonusi
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AとGmの、鳴ってる音で偶数小節(MIDIベースでは奇数)がひどい不協和になってると思いますが。 奇数小節もきれいにハモってるかんじではないですが、まだまし・・・ でいいかな・・・・・自信なし
お礼
回答遅れてしまい申し訳ございません。ところで耳良いですね。驚きです。 詳しく検証してみたところマイナーコードが若干唸っているかもしれません。奇数小節の和音もマイナーコードが含まれているので完璧な純正和音ではないことがわかりました。
お礼
詳しい解説、ありがとうございます。調律法まで解説してくださって大変興味深く拝見させていただきました。参考になります。結論として中全音律ではハ長調から遠く離れたある調から急に音が濁るという事がわかりました。それまで、例えばハ長調とト長調などでは数学的に響きに違いがないこともその後の詳しい調べで分かりました。 使える調性 長調:変ロ、ヘ、ハ、ト、ニ、イ 短調:ト、ニ、イ 長三和音:Eb Bb F C G D A E 短三和音:Cm Gm Dm Am Em Bm F#m C#m P.S 面白いことにピカルディーの三度が適応できない短三和音(Bm F#m C#m)を使う調性はバロック中期までは極力使用しなかった、という事も発見しました。その調性とはニ長調とイ長調です。副三和音にBm F#m C#mを含みます。 代表的な作曲家がスヴェーリンク、カベソン、タリスだそうです。 私は古楽器で調律をしたことが無いので分かりませんが調律1つで作曲のクセまで決まってくるという事に驚きました。