中国在住です。
ご質問に関しては、No.3の方の回答が簡潔にかつ本質をついていると思います。ネットでは「共産党の一党独裁」から、自動的に「一枚岩」的なイメージを持ってしまっている人が非常に多いような気がします。
例えば、こちらで仕事をする上で苦労するのは、中央政府の意向が正しく地方に伝わるのに恐ろしく時間がかかる、というのがあります。日本だと新しい法律ができればそれが施行される時点では、末端まで一つの解釈で統一されているのが当たり前ですが、この国はそうなりません。この悩みは、こちらで非営業系の仕事をした事がある人なら、誰でもわかると思います。まず、『一枚岩』というイメージを忘れるのが宜しいかと思います。一党独裁といっても、それは共産党以外に有力な政治勢力が無い、というだけの事で、矛盾や対立がないって事では全然ありません。
共産党内の対立にしても、共産党が民主集中制という原則を取っている為、平常時は路線対立が表に出にくく、だからこそ表面化した場合は、わりと『劇的』なものになります。劉少奇、林彪、鄧小平、胡耀邦などの失脚は、当然日本でも報道されました。最近は静かなので目立たないかも知れませんが、気をつけて新聞TVを見ていれば、北京派と上海派の存在はちゃんと報道されています。(沿海部VS内陸部、裕福層VS貧困層も、有名な話)
チベット・東トルキスタンも、丹念に読んでいれば、問題の所在ぐらいはわかります。(東トルキスタンは、9.11以降中国政府自身が『テロリスト』として、積極的に世界に発信しようとしているといっても良い。)勿論、チベットや東トルキスタン独立派が臨むほどは、大きく取り上げられていないとは思いますが…。
ネットでの情報(Web版のニュースなどを除く)からイメージを作らないようにすれば、新聞やTVでかなりの事がわかりますので、まずはそこから始める事をお奨めします。書籍については、玉石混交というか、ネットと同レベルの石の比率がやたら高いので、私はあまりお奨めできません。(勿論中にはまともな本もありますが…)
『中国という国はずっと内戦をしてきた国のような印象がある』との事ですが、ひょっとしたら、中国の歴史では王朝の移り変わりの際の混乱の話題がよく出てくるせいではないか、という気もしますが、それよりも、江戸時代の日本が中央集権的ではなかったのと同じような意味で、昔の中国は(時々により濃淡はあれ)中央集権的ではなかったし、今もそうではない。最近ようやくTVなどの影響で、人々の意識の上での共通のアイデンティティが形成されつつあるし、中国政府が『法による支配』を浸透させようとしている事によって、社会面でも中央集権的に進み始めた、と思った方がよいのではないかと思います。元々、中国のような巨大な国では、外圧(北方民族、西洋列強、日本)がなければ、共通のアイデンティティが形成されにくくて、当然だと思います。共通のアイデンティティが薄い以上、中々「一枚岩」にはなれません。
尚、反日デモ等については、こちらに住んでいても正確なイメージを掴むのは困難ですが、一般的な『反日意識』については、ある程度「官製」(教育を含む)のもの、日本のネットで見られる一部の「右っぽい言動」と同じように、反日はただのきかっけで不満のはけ口としているもの、祖父母や近所の人などの話など自分に近い人の体験に基づくもの、などが渾然一体となっているように思います。それ以外に、そもそも反日も親日も両方とも興味が無い、というかなりの比率の人がいます。
お礼
ありがとうございます。 >「一枚岩」的なイメージを持ってしまっている人が非常に多いような気がします あの巨大な大国が日本を飲みこまんばかりのイメージなんですよね。 >平常時は路線対立が表に出にくく その辺は日本共産党とも同じなのかもですね。 >書籍については、玉石混交というか 気軽に聞いたことに現地在住の方からお返事をいただける時代なんですね。 のんびり本読んでる場合じゃないのかも。 >王朝の移り変わりの際の混乱の話題がよく出てくるせいではないか そうだと思います。歴史活劇見過ぎかもしれません。 >共通のアイデンティティが形成されにくくて あの国はどこまで深いんだろう・・・って思うことがありますね。 >一党独裁といっても、それは共産党以外に有力な政治勢力が無い、 やはりイメージ戦略に私などは乗せられているんでしょうね。 貴重なご意見ありがとうございました。 その一端がビビットにイメージできて、大変参考になりました。 また機会がありましたらよろしくおねがいします。