世界遺産条約の審議過程は知らないので、お力になれるか分かりませんが、国際法の一般論からの見解を参考にしてください。
このレベルの質問になると、専門書や論文にあたらなければ解けないレベルの質問が含まれているかと思います。先にアドバイスとして、お受け取りください。
1について
日本政府はしばしば、多国間条約に対して、国内法が条約と矛盾しないように、また、条約をすぐに運用できるよう、締結前に国内法を整備します。このため、発効から批准まで時間がかかってしまいます。世界遺産条約に関しても、その性格が締約国に対して保護義務を定めていることも鑑みると、やはり、国内法整備のため、加盟に時間がかかったと考えられます。
3について
こういった多国間条約の場合、あまり一番目というのは、気にされません。むしろ、できたと同時に入った諸国家の原加盟国が重要になります。同じ日にいくつもの国が加盟していることもありますので、その場合、どの国が一番かは決められません。
おそらく世界遺産条約もいくつかの国が原加盟となっていると思います。
4について
戦争時における文化遺産の保護は、戦争法規として条約としてもあり、もはや国際慣習法になっているといえるでしょう。(実際は、例外規定が多いのも事実ですが)
世界遺産についても当然、保護や戦闘による被害を未然に防ぐ対象となります。
ですので、国の軍隊であれば、通常は仮に世界遺産がある地域で戦闘し、破壊や損害を与えた場合、戦時国際違反となり、関った軍人は裁かれます。太平洋戦争中、アメリカ軍が京都を空爆しなかったのは、その歴史的な街並みが美しい、文化遺産だったからだという、逸話も残ってます。(真実かは、さておいて)
ですが、ゲリラやテロリストの場合、直接国際法の規制範囲ではないため、どこまで文化遺産の保護が現実的かは、不明です。犯罪者になることは確実なのですが、それを実際捕まえられるかは、別の問題です。
近年では、タリバーンによるバーミヤン遺跡郡の破壊が有名かと思いますが、世界遺産の意図的な破壊は初めてのケースだったのではないでしょうか。
7について
削除される場合は、世界遺産条約が定める世界遺産の条件に該当しなくなり、その価値の復旧が見込めないときかと思います。例えば、大規模な気候変動による自然遺産の破壊、天災による文化遺産の修復不可能なほどの破壊など。
その価値を守れなかった人類の失敗の歴史も、記憶として残しておくべきという考えもあるようです。 先のバーミヤン遺跡群もそれにあたるらしいです。
以下の文献を参照されると、より正確かつ詳しくが書かれていると思います
『世界遺産Q&A』日本実業出版社
『文化遺産の保存と国際協力』河野靖、1995年、風饗社
お礼
大変分かりやすい、回答をありがとうございます。仕事が忙しく中々調べられなく、どの本を読めばいいかさへ分からない状況でした。早速調べてみます!