アメリカで使える伝統空手と護身術を教えている者です。
殴ることで手に対しての怪我には二つあります。 ひとつは手首への怪我ですね。 これは、手首へのトレーニングを怠っているか指導員がその重要性を知らないことで起こるものです。 ボクシングなどで手首にテーピングをして補強するわけではないので、この怪我は教えなくては必ず起こる、事だと実感しなくてはならないことなのです。
特に、パンチの力をつけていく打撃訓練ではそれと比例して手首の強化を心がけなくてはならない、と言う事なのです。
しかしです。 空手などで使う「正拳」と言われるストレートのパンチがこの手首を傷める大きな問題点なんですが、本当に素人が喧嘩などで正拳を使ったストレートパンチを使うかと言うとほとんどありません。 よって、この手首の怪我は空手では起こる可能性が高いけどボクシングや喧嘩ではあまり起こらない、と言う事にもなるわけです。
では、喧嘩などの事件で警察につれてこられる中でどのような手への怪我が多いかというと、こちらでBoxer's fractureと言われる物で、小指の付け根のこぶしとこぶしの下の骨への怪我なんです。
これは何かと言うと、ストレートではなくフックのパンチの方が良く喧嘩で使われこぶしのつかいかたをしらずして「ボクシングの真似事」が頭に入っているために起こることなのです。
つまり、相手の体の一部分が当たる拳の位置が手で一番弱い小指の付け根の部分なのです。
また、この付け根の部分が弱いところに更にボクシングスタイルとして親指、人差し指と中指だけで拳を作ってしまい、小指と薬指が「拳を作っていない」事からこの部分が浮いてしまっているのですね。
ですから、この状態で、相手を殴ると小指にこぶしがあたってしまい付け根の部分が下手をすると骨折まで行ってしまうことになるのです。
よって骨のもともと細い女性や若い人人たちの護身術では効率の良い殴る方法を教えるためにはこの知識がなくては教えられない、と言う事でもあるのです。
体のがっしりとした骨太のボクサーや格闘技家たちがこれらのひ弱いとされる人たちを教えられないと言うことにこの点がひとつあるのです。 下手をすると、殴るな、自分の拳が怪我をする、とまで言うわけです。 私はなんて無責任なことをいうのだと思うわけですね。
150Kgもの相手を倒す必要がある護身術では50Kgしかない人は「貫通力」を作り上げなくてはなりません。 そのためには拳の作り方を教えることは基本のまた基本であるわけです。 なぜなら、貫通力を持たせると言うことはすなわち、相手を打った時に相手の体から返ってくる反動をいかに自分の骨が筋肉と一緒になってひとつの槍や刀となってくい込まなくてはならないからなんですね。 手首やこの小指の拳を強化しなくてどのようにして相手を倒すことができると言うのでしょうか。
また、パンチ力を高めると同時に空手では人差し指と中指の拳の強化をやめるわけにはいきませんね。 レンガやブロックを壊すと言うことは自分のこぶしもそれだけ強化していなくてはならない、と言う事になるわけです。
少し専門的になったかもしれませんが、お役に立てればうれしいです。
これでいかがでしょうか。 分かりにくい点がありましたら、補足質問してください。