ブルーススケールの定義ということについてのみ、少々書かせていただきます。
まず、ブルーススケールというものの定義は、色々な考え方が存在するのが実状のようです。
この定義において、最も問題とされる点は、maj7th(長7度)の音を入れるか入れないか?ということあたりとなってくるようですが、No.1のかたが挙げられているものでは、”メジャースケールに♭3rd(短3度)の音と7th(短7度)の音のブルーノートを加えたもの”ということで、maj7thが入るものとなっております。
これに対するものとしては、maj7thの音を含まないメジャーペンタトニックスケールにブルーノートを加えたものをブルーススケール(ブルーノートスケール)と定義する考え方で、これにおいては、ブルーノートとして、♭3rdと7thの音に加え、♭5thの音もブルーノート(または準ブルーノート)として入れることが多いものです。
この考え方は、メジャーペンタトニックスケールとマイナーペンタトニックスケールをたして、さらに♭5thを加えたとも言えるものですが、これは、一般的なブルースのアドリブ等において、メジャーペンタトニックスケールとマイナーペンタトニックスケールを切り替えながら演奏するといったことにも則するものですので、実践的な考え方ともなります。
また、通常の3コードブルースでは、3つのコードは全てセブンスコードですので、7度の音は7th(短7度)で、maj7th(長7度)の音は、これとぶつかり合うことになり、本来はあまり使えないことになってくるものです。
したがって、maj7thの音は、経過音的な扱いに近くなるものと言えるかもしれず、スケールに含まれる音としてとらえるのは少々きびしいかもしれません。その証拠として、3コードのブルースにおいて、他に使用されがちな、ドリアンスケールやミクソリディアンスケール等でも、これらはいずれも7th系のスケールであり、maj7thの音は含まないものであります。
このようなことで、ブルーススケールでmaj7thの音を入れるとするものは、3コード進行をさらに発展させたジャズ寄りのブルースコード進行や、ポップス系の一般的なコード進行において有効となると考えたほうが良いものかとも思います。米国においてもその地域や流派的な差等によって、色々な考え方が存在するようです。
したがって、カート・コバーン氏がどのようなものをブルーススケールとしていたのか?ということになるわけですが、ロック系のギタリストではよくありがちなものとして、3コードのブルースコード進行において最も使われがちなマイナーペンタトニックスケール(ブルーノートペンタトニックスケール)をメインとして、これに多少の経過音を加えたようなシンプルなものをブルーススケールとして考えているといったこともあります。
よって、あまり型にとらわれずに、御自分でニルヴァーナの曲におけるプレイを分析していただければ、少なくともカート・コバーン氏の考え方が見えてくるかと思いますので、そのようなものを1つのアプローチとして吸収しておけば良いのではないでしょうか。