そう思われるのは当然ですよね。実際,高いと思います。理由は,ご想像の通り,販売数の少なさです。また,販売に必要となる人的な手間の多さも原因です。また,ほとんどが外国産という事情もあり,為替差などによる損益を避けるために実際の為替レートより日本の輸入業者にとって有利なレートで計算している場合も多いと思います。
補聴器自体の製造コストはおそらく定価の25%以下です。近年の補聴器は10年前のパソコンよりも処理能力が高い回路を持っていて,もの自体は本当に良いものになっています。しかし,問題は売る際にかかるコストなのです。補聴器は必ずユーザーさんごとに,その補聴器の調整が必要です。たとえば「電車に乗ったときに,うるさく感じる」とか,「おせんべいをかんだときに頭に音が響く」と言ったようなことをユーザーさんが言います。それに対して,補聴器の調整状態を変更して,補聴器が常時装用できるように調整をしていく必要があります。そのための人的コストが補聴器価格の半分を占めています。
ですから,新聞広告で買った安い補聴器は,合わなかったら,捨てるだけですが,通常の補聴器販売店で購入した補聴器は,基本的には何度も,何度も,その販売店に通って内部の調整を変えてもらっても,調整料を請求することはないと思います。
つまり,補聴器とは販売時の一回だけの調整で満足して使用開始できるものではなく,購入後,数年に渡って,その補聴器の調整をするための,聴力検査,補聴器装用閾値検査,語音聴取検査など一連の補聴状態の評価と,さらにその結果による適切な補聴器調整を受けるための費用を含んだものが,価格になっているとご理解いただきたいと思います。
ですから,一度,補聴器をお買いになったら,何度でも,何回でも販売店に行き,「調子が悪い」とか,「どれどれの音が聞こえにくい」とか,「高い音が響く」とか,苦情を言って,それを解消できるように補聴器を調整してもらう費用も含まれていると考えていただければよいのではないかと思います。
お礼
詳しいご説明、ありがとうございました。 やはり販売側の理由なのですね。メカ自体さほど複雑精密ではないし、国際特許などの関係かと思っていましたが。そういうことなら製造コストは25%ほども行かないでしょう。(恐らく1割以下?) しかしそれならば、公的支援があってもいい分野ですね。現在は消費税が非課税、程度ですか。医療器具扱いなら、購入者は医療者ではなくユーザー(患者)なのですから保険の対象にするとか・・・ 納得行かないけれど、高い理由は納得できました。 ありがとうございました。