NO.#17134で、専門家として答えておられるstaphyloさんに、専門家の回答を求められても困ってしまうので、あえて、経験者(いつのまにか関係者が経験者になってしまっている!)(頭痛のメカニズムを基礎医学のレベルから研究している者ではない)としてアドバイスいたします。
まず、片頭痛の原因が、「毛細血管」の拡張だ、と本当に習いましたか(少なくとも私は、学生にそういう風には教えていない)?毛細血管(これはご存じの通り、動脈ではなく、動脈のような中膜筋層はありませんよね?)がそんなに強く収縮や拡張をしますか?
次に、片頭痛の原因は、現在なお、完全にこれだ!と言うところまでは究明されていないと私は理解しています。ただ、セロトニン(5HT)が大きく関与していることはおおむね間違いがなさそうです。ご存じだとは思いますが、何らかの原因でセロトニンが大量放出され、そのため血管が収縮し、セロトニンが枯渇して、血管が拡張し始めたときに頭痛が起こるというあれです。ただし、片頭痛患者が前兆を訴えたとき、すなわち血管が収縮しているときに脳血管撮影を行っても、頭蓋内、頭蓋外とも血管撮影で見える程度の太さの血管には収縮が起こっていないとされています。しかし、rCBF(regional cerebral blood flow:局所脳血流量)を測ってみると、前兆として視野障害を訴えている患者さんの場合には、後頭葉でのrCBFが低下していますし、逆に、視野障害がなくなって頭痛が起こり出すと、rCBFが増加しています(このことは実際に私も臨床の現場で検査して経験しています)。また、頭蓋外血管由来の片頭痛でも、その側の皮膚温が上昇していますので、血流量が増えているのは間違いなさそうです。ですから、収縮したり拡張しているのは、どうやらもう少し細い血管のレベルではあるようです。
最後に、喫煙によるニコチンの血管収縮作用が片頭痛の軽減にプラスに働くかどうかですが、喫煙により摂取された程度のニコチンの量で片頭痛発作時の血管を収縮できるかどうかが疑問なことと、片頭痛発作時のひどい頭痛や嘔気を訴えている患者さんが通常たばこを吸えるかどうかも大変疑問です。従って、「喫煙」が(理論的にはわかりませんが)臨床的に役立つとはとうてい考えられません。
お礼
とても参考になりました。小生、まだまだ勉強不足だと再認識しました。お急がしところありがとうございました。もう一度勉強しなおして自分の考えをまとめてから再度質問させていただくかもしれませんが、その折はまたよろしくお願いします。
補足
別の方の質問で”喫煙と頭痛”についての回答で頭痛の原因が血管の収縮によっておこると述べられてあり、それが喫煙によるニコチン様作用の血管収縮作用に起因するとの意見の対して、疑問を感じたので質問した次第です。naokunさんのご意見は大変参考になりましたが、naokunさんの説はいわゆるセロトニン学説ですね?確かにmigraineの原因には諸説ありますが、この際各諸説は置いておきまして、原因が神経説であろうとセロトニン学説であろうと、aura後に起こる(auraが起こらなくても)血管の拡張が原因となることは間違いないでしょう。これはcafergot投与により頭痛が軽減されることからもあきらかでしょう。そこで、おっしゃる通り喫煙でmigraineが治るなど喫煙が臨床的に役立つというのはおかしいと思いますが、単にニコチンの血管収縮作用だけを考えれば、少なからず頭痛の軽減に関与するのではないかと私は思います。(まあ私自身が愛煙家であることもありますが・・・)それに内科医の先生がそのようなことをおっしゃっていたような気がしたので・・・