ymut様。
読んで面白いかどうかは、人によりますし、年代にもよりますので責任の持てない発言になりますが、私なりのオススメを書かせていただきます。
一応、何かしら名の通った賞などを取っている人を選んでみました。
また、本気で純粋な恋愛ものが好みなので、紹介したものは少し片寄ってます。
●他の方も書かれていますが、山田詠美「ラビット病」
カワイイです。相思相愛な二人の、二人だけの熱烈な恋愛。読んでいて、恋愛ってすばらしいと、温かい気持ちになります。
●吉本ばなな「ムーンライト・シャドウ」(福武文庫刊)
表代作は、泉鏡花賞を受賞した「キッチン」という作品。この文庫版の中に収録されている短編の一つです。あまり知られていないと思いますが、佳作です。高校二年生の時に知り合ったさつき(主人公)と等。さつきは等を死ぬほど愛していたが、等は突然死んでしまう。眠れず、苦しく、しようがないので、早朝走って、橋の上で携帯ポットのお茶を飲むさつき。そんな日々を送るさつきの前に、不思議な女性が現れる…。愛する幸せと淋しさが伝わってくる小品です。
●中里恒子「時雨の記」(文春文庫刊)
著者は、女性として初めて芥川賞を受賞した人。設定は、40代の未亡人である多江と、50を過ぎた男・壬生が20年ぶりに偶然に再会し、短く切ない恋をするというもの。大人の恋愛小説の名作として、近年人気が復活し、吉永小百合主演で映画化もされました。
●藤原伊織「雪が降る」
6つの短編が収録された珠玉の短編集。恋愛ものじゃないのも入っていますが、どれも著者の実力、作風が発揮されていて読みごたえあります。表題作の「雪が降る」という作品は、一人の男が、長い間ひそかに愛しつづけた女と再会し、一瞬手に入りそうになるけれど、女は死んでしまうという話です。設定はふつうですが、登場人物が非常に魅力的。藤原伊織は、「テロリストのパラソル」という作品で直木賞と江戸川乱歩賞をダブル受賞した人。もちろんこれは史上初。しかも江戸川乱歩賞の選考過程で、予選・本選ともに審査員に満場一致でAランクをつけられたのもこれが初めてだとかで、非常に話題になりました。こちらもオススメです。
●小川洋子「ホテル・アイリス」(幻冬舎文庫)
海辺の小さなホテル、「ホテル・アイリス」。祖母が死に、父が、祖父が死に、今は母親と二人でホテルの切り盛りをする17歳の少女・マリ。マリは客としてやってきた一人の老人と出会い、二人だけの秘密の時間を持つようになる。…テーマは、わかりやすく言ってしまえばエロティシズムとサディズムでしょうか。しかし、そこから受け取る内容、感想はもう、読んでいただくしかありません。とてもここには書けないような…、とにかく手に汗握り読みました。著者の作品に共通していますが、描写や筆致はあくまでも静かで冷静です。でも、返ってその方が迫力あります。
●紫式部「源氏物語」
いろいろな人が現代語訳をしていますが、まず一番最初に読むなら瀬戸内寂聴氏の現代語訳版をオススメします。これを語らずして日本の恋愛ものは語れないのではないでしょうか。世界中で読まれていますし。
しかもテーマが盛り沢山です。日本最強のプレーボーイ・光源氏。相手が多彩で驚きます。義理の母親、または義理の娘との禁断の恋をしてみたり、政敵の娘との恋愛をしてみたり。年上の高貴の女性を落としてみたかと思えば、10歳足らずの少女にも興味を抱く。読んでいて飽きないです。
うーん、まだまだありますが、長くなってしまったのでこのへんで…。
ご参考になれば幸いです。
お礼
私は外国の作品を読んだことはほとんどないので、これを機に読んでみようと思います!!ありがとうございました。