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抗がん剤と腫瘍マーカー
抗がん剤治療中で奏効すればどんな状態や状況でも腫瘍マーカー(信頼できるもののみ)の基準値までの低下は当たり前なのでしょうか?抗がん剤は効けば癌の進行をくいとめるので進行度が±0なので効いた方全員がマーカー基準値になると思うのですが実際はどうなのでしょうか? 回答よろしくお願いします
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>先生は司法解剖の専門ですか? 病理医です。司法解剖をするのは法医学者であって別物です。 >PET検査ができるようになってから癌治療に大きく躍進したとつい最近まで思ってましたが、 ●「PET検査ができるようになってから」→これは、単なる検査法です。 ●「癌治療に大きく躍進した」→検査法と治療法は別の次元です。ただ、PETで早期発見できれば治療の可能性が高くなります。 PET検査は、まだ一般的になっていませんし、殆どは保険外(自費による)検査となります。保険が利く場合というのは、原発不明癌など、診断困難な患者さんに限定され、これらの場合は「早期発見」には相当しません。 >他の回答者様にマスコミも大げさなものだとご回答がありました mhougaさん、inogeさんともに、大変素晴らしいご解説でした。このお二人の回答は、ingrrateraさんに対する回答以外の、他の方への回答にも、いつも感心して拝読しています。 >この際先生に正しい答えを教えてもらいたいのですが 私は、病理という限られた領域で仕事をしています。他の分野は当てにはなりません。 >PETで良性と悪性の判断はしっかりしてるのですか?! PETは、細胞のブドウ糖消費量を検出します。端的に言えば、「大飯喰らい」を見つけるわけです。悪性すなわち「大飯喰らい」という傾向はあっても公式はありません。小食の悪人もいれば、大食の善人もいます。なお、PETが最も活躍するのは、複雑で魅力ある脳内の仕組みを解明する研究の場です。脳は、基本的にブドウ糖のみを利用しますので、たとえば特定の刺激、あるいは感情に対応して、PETで信号を検出できれば、その部位がその刺激・感情を司っていることがわかります。つまりPETは人体最高の秘境を探索するために欠かせないツールです。脳の特徴を理解しておくと、脳全体が常にPETで強い信号を発しているため、悪性腫瘍があっても正常の脳の「大飯喰らい」性格に隠れて、見つけにくいことが理解できます。 >PETは本当にどんなちいさな癌でも発見できるのですか!? 発見できる時もあるし、できない時もあります。旧来の方法よりも、感度が優れている臓器もありますし、そうでない臓器もあります。腫瘍マーカーとは全然別の土俵なのですが、腫瘍マーカーの方が早期発見に役立つこともあります。どちらが優秀かを比較された質問を以前に見ましたが、比べたりするものではなく、協力して総合的に検査するための方法です。 >また、PETで甲状腺(転移病巣も)や膀胱癌がわかるのですか!?誰でもその部分に集積してるみたいのですが… PETでは信号を発する物質を体内に入れます。静脈注射した場合は、尿に排泄されます。ということは、腎臓から膀胱にかけて、腫瘍のあるなしに関係なく、高信号が観測され、当然、その付近の癌はわかりません。甲状腺については、資料がありませんが、検出できない事由は思いつきません。転移巣についても、障害(たとえば膀胱の近くとか)がなければ有効です。 >友人の小細胞肺癌(IV期)は治るのですか!? http://www.ncc.go.jp/jp/ncc-cis/pub/cancer/010202.html この国立がんセンターのホームページは信頼できます。読んで勉強してください。かなり厳しいこと書いてあります。 なお、イレッサは非小細胞癌(小細胞癌以外の肺癌)に対する薬ですから、お友達には使用できません。
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- pathology
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>丸○ワクチンは悪徳なんですか!? ○○に入るのは、丸山だけではありません(なお、二文字に限定していません)。たくさんあります。その中では、丸山ワクチンは、有償の治験として合理的な価格で、真面目にやっているので、そういう意味では悪徳商法とは言えません。ただ、もし全く無効ならばたとえ安価であっても許容されるものではありません。丸山以外の、○○ワクチンは、法外な価格と無効な商品がセットになっていて、悪徳と言えます。 http://home.att.ne.jp/zeta/miperu/adc-qa/QA0157.html なお、丸山ワクチンとほぼ同様のもの(アンサー20)が、放射線治療時の白血球減少症の薬として、同じ製薬会社(ゼリア)から販売され、こちらは認可されています。 >また巷では温熱療法、免疫療法も革命的な治療法とも言われてます。 まだ、研究段階であり、完成の域には達していません。ですが、今まさに悪性腫瘍の治療をしている人にとっては、完成を待っていられませんので、駄目で元々とトライしているのが現状です。 >実は友人が肺癌に侵され、14型のTVくらいの大きさのものを使い温熱療法を行ってます。 まともな施設において癌治療の専門医の元で行われているのならば、他の治療法と比較・検討もしくは併用して、正当なコストで施行されていると推測されます。そうであれば医師を信頼して期待してください。 >私はイレッサという有効な薬があると言ってるのですが、抗がん剤は使用しない、と言います。 イレッサは副作用で有名になりました。米国では今まで使ってきた患者さんを除いて、新規に用いることはできなくなりました。 http://news.goo.ne.jp/news/kyodo/kokusai/20050620/20050620a3980.html?C=S イレッサは癌細胞の増殖に関係しているEGFR(上皮成長因子受容体)の機能を抑えることが作用機序(仕組み)です。分子標的治療薬のひとつです。実は、分子を標的にするといっても、この分子は正常細胞にもあるので、副作用は避けられません。 昔、発癌を引き起こすウイルスから遺伝子が見つかったとき、発癌遺伝子(oncogene)と命名され、これをやっつけてしまえば癌は征圧できると、多くの医師・研究者が大きな、ほんとうに大きな期待を持ちました。ところがまもなく、発癌遺伝子とされた遺伝子の中核部分は、なんと正常細胞に存在することがわかりました。正常な増殖、再生、生殖などにおいて、なくてはならない大切な働きをしています。期待は急速にしぼんでしまいました。しかし、もともとあった遺伝子ですが、そこに異常が生じて癌になるので、現在は、どんな異常が、どんな原因で生じて、どうすれば防げるか、生じてしまった異常を直すか、異常細胞だけを排除するか、いろいろと研究が進められています。しかし、現状では、まだまだ癌には歯が立ちません。 >今現在、メシマコブも飲んでいるのですが、このような薬が効くという専門家と効かないという専門家がいて混乱します 健康食品については、毒にも薬もならない物を法外な値段で購入するだけのことが多いので、気に入られたのならば、「好きな食べ物」として納得して召し上がってください。ただ、「エキスを濃縮した」とうたってある商品で、本当に何かの原料を濃縮・加工した物では、濃縮過程で有害物質が高濃度になってしまっていることがあり、用心してください。健康食品といわず、あらゆる種類の食品を健康的に召し上がっていただくのがよろしいかと思います。ただ、どんな食品でも、そればかり大量に摂取すれば健康を害することになります。他人を強制することは致しませんが、私自身はいかなる健康食品も摂りません。 http://www.geocities.jp/yu_domon/minkan2.htm このような健康食品が有効であると、言った覚えがないのに業者から勝手に名前を使われた例もあります。 http://www.ncc.go.jp/jp/ncc-cis/pub/index/qanda.html#06 また、元は大学教授であったのに道を踏み外して悪徳商法を始めるような医師もいます http://khon.at.infoseek.co.jp/chosha/y068.html >現に手術もしないで癌がきえた…というデーターもあります。 正当な(世界の科学者に認められた)抗腫瘍剤だけで完全に治癒できる種類の癌はあります。このような種類の癌に対して、正当な抗腫瘍剤に加えて「高価で効果のない」悪徳治療法を併用して完全治癒を導き、「さも、その悪徳治療法が効いたように吹聴する」と、ingrrateraさんのご覧になったデータが出来上がります。 癌治療の悪徳商法の傾向としては、 ・儲けるための価格を設定する(法外に高かったり、安めに設定して何回も使用させる)。 ・その疾患の専門医は知らない治療法である。 ・統計的な処理をしているデータを示さず特定の患者の体験談のみを宣伝する。 ・病気の原因を余りにも単純化したり、恐怖を煽ったり、自分の治療が効果が無かった場合の言い訳を都合よく準備している。 ということが挙げられます。 実は、日本では効果のない(薄い)薬が認可されています。国家レベルの悪徳商法です。アガリクス・メシマコブはキノコの一種ですが、カワラタケというキノコの抽出物からできた薬(クレスチン)があります。世界では全く認められておらず、実際に効果はほとんどないのですが・・・。認可に係わる官僚・政治家と企業に黒い噂があるのですが、確かなことは何もわからないのでこれ以上は何も申し上げられません。ただ、まともな癌治療専門医にかかれば、そのような薬は用いられません。 >先生は医者ではないみたいなのですが… やはり、そう見えますか・・・。医「者」というのは、芸「者」と同じくお客さんに呼ばれて行くものだと訊いた事があります。はい、たしかに生きている患者さんは診ません。医者に対して説明したりはします。ハンドルネームの単語のまんまを専門とする医師です。 ingrrateraさんが、有害な情報を避けて正しい知識を身につけられますように。
お礼
現実を感じました… 先生は司法解剖の専門ですか? PET検査ができるようになってから癌治療に 大きく躍進したとつい最近まで思ってましたが、 他の回答者様にマスコミも大げさなものだと ご回答がありました、、 この際先生に正しい答えを教えてもらいたいのですが PETで良性と悪性の判断はしっかりしてるのですか?! PETは本当にどんなちいさな癌でも発見できるのですか!? また、PETで甲状腺(転移病巣も)や膀胱癌がわかるのですか!?誰でもその部分に集積してるみたいのですが… 友人の小細胞肺癌(IV期)は治るのですか!? (小細胞は増殖が早いらしいのですが、増殖が早いほど抗がん剤が効くみたいなので…抗がん剤を使ったら癌は消えますか!?) 先生、どうか真実を教えてください!
- pathology
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見事な質問設定に感心しながら楽しみに拝見しております。 以前にお答えしたことを復習してください。「奏効する」というのは「画像上、腫瘍の縮小率が50%以上で、腫瘍による二次的病変が増悪せず、かつ新病変の出現しない状態が4週間以上持続したもの」か、それ以上に効いたことであって、必ずしも腫瘍が消滅することを意味しません。腫瘍が残っていれば腫瘍マーカーもゼロにはなりません。多少の低下はあるかもしれませんが。 ●怪獣が火を噴く。怪獣はどんどん大きく成長して、もっと強い火を噴く。薬をかけたら怪獣の大きさの進行度は±0になりました。ということは、それまでと同じ強さの火を噴くが、それ以上は強くなりません。怪獣が死んでしまえば火は出なくなります。 ●腫瘍が、抗腫瘍剤で大部分死滅してしまえば、腫瘍マーカーは正常値に戻ります。この場合、腫瘍が復活してくると(変異がなければ)腫瘍マーカーは上昇に転じます。幸運に恵まれて腫瘍が完全に死滅してしまえば、これは完全治癒ということで、当然腫瘍マーカーは正常化したままになります。 癌は、外科的に取り除くことが最も有効かつ確実な治療法です。それ以外の治療法は全て運にまかせるようなもので、期待することはできても頼りにすることはできません。もちろん全員がすぐに死んでしまうわけではないのですが、万人が必ず助かる治療法はありません。 化学療法・放射線療法・温熱療法など外科的切除以外の方法は万全ではありません。取り切れなかった場合、腫瘍による死の可能性を考慮する必要があります。 病院で正規に行われる治療であっても、悪性腫瘍という難敵には完勝する保証が得られないため、その無力感につけ込んで、民間療法、怪しげな免疫療法(病院で処方される薬にも、ちゃんと効果が確認された真面目な免疫賦活剤もありますが、○○ワクチンとか呼ばれるものや、新免疫療法は悪徳商法です)が跳梁跋扈しています。 ingrrateraさんの一連の質問には、「明解な答えはない」のが本当の答えです。もしも明解に答えられるようならば、がん治療の専門家は必要なくなります。専門家は、個々の患者さんの状態を真剣に観察しながら最善の治療法を選択しています。明解でないからこそ、個々の症例を深く検討する必要があるのです。 現在の医療水準から単純に割り切ると、あなた様の質問には、答えのないところに回答を要求する「ないものねだり」の要素があります。 視点を反対側に移すと、研究者はingrrateraさんの質問に明確に答えられるような成果を目指して日夜努力しています。その点では、焦点を突いていて、お見事です。
お礼
pathology先生の大変わかりやすいご例えではっきりと 理解できました。私は確かに自然(医療)を理屈的に 探ってしまいます。 以前ご教授してもらった<奏効>は腫瘍の縮小が必須 ということだったのですが、理屈でかんがえてしまい、 怪獣が薬によって攻撃されているときは火は噴けないこと だと頭のなかで決め付けていました。 丸○ワクチンは悪徳なんですか!?巷ではそれが一番 信頼できるものだと聞きます。アガリクス、メシマコブ、 フコイダンはある程度効果が実証されているみたいなので これから期待されているものだと捉えてます。 また巷では温熱療法、免疫療法も革命的な治療法とも 言われてます。実は友人が肺癌に侵され、14型のTV くらいの大きさのものを使い温熱療法を行ってます。 先生は医者ではないみたいなのですが…(理学療法士?) 私はイレッサという有効な薬があると言ってるのですが、 抗がん剤は使用しない、と言います。 今現在、メシマコブも飲んでいるのですが、このような薬 が効くという専門家と効かないという専門家がいて混乱します・・pathology先生はメシマコブについてどう思われますか??どうかご意見お願いします! 私の理屈的考えでは効く・・と捉えています。 メシマコブは免疫を大量に増やします。NK細胞やリンパ球が活性化し、癌を殺すというものです。 現に手術もしないで癌がきえた…というデーターもあります。
- ADEMU
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そもそも腫瘍マーカーというのは腫瘍から放出される通常では存在しない、もしくは非常に低値な物質を検出してそれを測定しています。よってその物質を放出している腫瘍が小さくなれば放出量も減るので測定値は低値化してきます。 腫瘍マーカーというのは確かに腫瘍の存在を知る検査でもありますが、摘出した腫瘍の再発をトレースする検査でもあります。 そういう意味からでも癌の進行を止めるだけでは測定値の低値化は望めないと思われます。 ただし、腫瘍マーカーは完璧ではないのでガセも中には存在します。
お礼
ご回答ありがとうございました。 腫瘍マーカーとは主に再発の早期発見(経過)を みるものなのですね
お礼
先生は腫瘍組織を判断する専門なのですね。 国立がんセンターのHPは怖くてみれません… 友人は病院で知り合ったたった8ヶ月の仲ですが 家族のような感じです。。。 PETはやはり100%信用できるものではないんですね 一連の私のわがままなご回答ありがとうございました。 これからも頻繁に他の質問をすると思うので、よろしければまたお願いします