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エンジンの点火方式について
CDI点火とトランジスタ点火の、それぞれのメリットやデメリットなどが 知りたいのですが…。 スズキの125cc、ジェベルとDFは、同じエンジンを積んでいますが、 仕様を見ると点火方式が異なっています。DFにはキックスターターが 標準で付いていますが、それとなにか関係があるのでしょうか?
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CDI点火のメリットは高圧縮のエンジンで高回転域での使用に強いこと、デメリットは冷間時の始動特性が悪い、低速時にはエネルギー効率が悪いことです。トランジスタ点火はほぼ、その逆の特性を示します。 どうしてそのような特性になるのかを以下に簡単に説明しておきます。 まず、トランジスタ式ですが、この形式の動作原理は旧来からあるポイント式と同じです。ただ、機械的な接点を持つコンタクトポイントをトランジスタと言う半導体スイッチに置き換えたものです。これには機械的な動作部分を点火系から締め出すという大きなメリットがあり、点火時期の調整などを、ほぼ不要にできますし、機械的な接点では避けられないアーク(火花放電)によるエネルギーロスを解消できる点です。さて、この形式での点火エネルギーは1次コイルに電流を流す時間にほぼ比例(ただしコイルの鉄心が磁気的に飽和するまで)するので、回転数の低いときは十分なエネルギーがありますが、回転が上がるに従ってエネルギーが低くなる傾向にあり、高回転では不利になります。そこで自動車用のV8エンジンなどでは点火系統を2組用意してコイルに十分な1次電流を流せるように (8気筒エンジンを一個のコイルでまかなうと、同一回転数の時の一時電流を流せる時間は単気筒エンジンの1/8の時間になってしまう)しています。また、シリンダー毎にイグニッションコイルを付ける方式なども、この欠点を補うために有効です。これには、高圧コードやディストリビュータをなくすことにより高圧回路でのロスをなくすこともできます。いずれにせよこの形式では点火火花のエネルギーは一次コイル通電した時間により決定されてしまうと言うことです。 一方CDIではあらかじめCDIユニット内で高電圧を発生させてコンデンサに蓄えておき、必要なときにイグニッションコイルに数百Vの電圧を一気に流し点火に必要な高圧を得ています。ここでのイグニッションコイルの役目は単なるトランスですので、CDIユニットに十分なエネルギーの昇圧装置とコンデンサーを備えておけば、回転数に関係なく、常に一定の点火エネルギーが得られます。ただし、ここで問題なのが、一般的な点火機構がコイル対コイルの昇圧機構で、ピークが低い(比較的低い電圧で)比較的長時間の放電であるのに対し、CDIではコンデンサ対コイルの昇圧機構でピークが高い(非常に高い電圧で)短時間の放電であるということです。これは、エンジンの回転が高い時は有利に働きますが、エンジンの回転が低いまたは、エンジン温度が低く燃料の気化状態が悪い場合などは着火ミスを起こす可能性が大きくなり、低温時の始動などは不利になります。 最後に、ご質問にある車両については詳しいわけではなので、あくまで、CDIとポイント式やトランジスタ式などのケタリング式に付いての一般論としてご解釈ください。 ケタリング式での昇圧については一部割愛しましたが、詳細をお知りになりたいのでしたら、その由、再度投稿なさってください。より双方の方式ともより詳細な解説を用意できることと思います。今回は質問内容を考慮し、ここまでにとどめます。
お礼
大変詳しいご回答、ありがとうございます。 CDIの方に、低温時の始動性の問題が多少あるということで、 そちらの点火方式の車種にキックが付いているのかもしれませんね。