質問者さんが仰る「猫」が、ネコ科全般を指すのか、イエネコ(ペットのいわゆる猫)を指すのか、イエネコでもペットだけを指すのか、野良の状態を含むのか、
仰る「山猫」がどの種の山猫なのか(ヤマネコとつく種はそれなりに種類があり、生息地域はかなり違います)、わからないまま回答していますが…。
また、ネコ科すべての生態を詳しく知っているわけではありません。
まず、ペットの猫が「寝ている時間が長い」のは単に、学習から安全だと思っているためです。
それから、捕食者に狙われるかというと、もちろん狙われます。
オトナのネコでもいろんな捕食者に喰われていますよ。
イエネコの祖先はリビアヤマネコと言われます。
野良猫やリビアヤマネコ、またネコ科のうち小型のネコ類はみな行動が似ています。
寝る時は捕食者に襲われにくい寝場所を好みます。
ペットのネコが生まれた時から人間に飼われ、危険な捕食者など一度も出会ったことがないにも関わらず、寝る場所に高い場所や、「木のうろ」型のベッドを好む傾向があるのはこのためです。
捕食者を避けるためだけに発達した性質とは言い切れませんが、ネコ類には
・一日の合計睡眠時間は確かに長いが、24時間の間に6時間おきに活動的になる周期があり、睡眠時間は細切れで、まとめて睡眠をとるわけではない
・熟睡しているようでも物音ですぐに飛び起き、直後から行動可能である
という傾向をヒトよりも持っています。
ペットの猫は平均一日12~16時間眠ると言われます。
しかし、現代社会の人間のように一日分の睡眠を続けて取ることはしません。
4、5時間ほど眠ったら起きて水を飲んだり、飼い主にご飯あるいはおやつに遊びをねだったりします。
人に良く慣れていれば飼い主の生活サイクルに合わせ、「夜は飼い主の就寝とともに長めに眠る」という習慣を持つ個体も多いです。
しかしそれでも、野生で生きていた先祖の本能に従い明け方近くになれば目覚め、水を飲んだり、若い猫であれば「猫の運動」を開いたりします。
夜明け前は狩りの時間ですからね。
そうしてしばらく活動した後はまた数時間眠り、昼ごろ目覚め、水を飲んだり遊んだり数時間活動し、2時から4時ぐらいはごろごろし、夕方近くになると活発になり…
ペットの猫はこうした一日を数回に分ける生活サイクルで生きています。
これは野生のネコでも実は同じです。ネコは家畜化されて数千年たっている生き物ですが、その生態はいまだかなりの部分、野生のときと同じです。
もっというと、ネコは夜行性と思われがちですが、実際には薄明薄暮性という「夜明けと日の入りの前後に活発に活動する」性質を持ちます。
これは薄明りの時間帯は捕食者も獲物も活発になるためです。
ただこれはネコ科だけではなく、他の生き物でも同じサイクルを持つ種はたくさんいます。
たとえばヒトにもっとも近縁とされるチンパンジーなども、一日を数回に分けて活動を行うサイクルで生活していますよ。
ネコに話を戻しましょう。
次に、眠っている間は、熟睡しているように見えても、何か物音がすると瞬時に飛びあがって起き、行動することがネコはできます。
寝ていても眠りはそこまで深くないようです。
ペットの猫だと寝ぼけなまこで、ゆすってもめんどくさそうな反応しか示さないことがありますが、これは今までの経験から「ここは安全で、今私に触っているのは飼い主だから危険はない」と思っているだけです。
野生のネコになると、眠っていても警戒を緩めませんし、何かあればすぐに飛び起きて走って逃げます。
人間が寝起きにすぐ走れるかというとかなり怪しいのではないでしょうか?
ヤマネコは、リビアヤマネコのようなペットのネコと変わらない種から、オセロットやウンピョウのような小型の種、ボブキャットやヨーロッパのオオヤマネコまで多数います。
これらの種はほとんど世界中に生息していて、生態はかなりまちまちです。
ただそれでも、眠る時間は長い、一日を活動的になる時間帯と休む時間帯を数セットに分けた生活サイクルを持つ、寝ている間も捕食者を警戒している、これらは共通しています。