将来のコストを考慮して、新車に置き換えている。
車体にガタが無くても機器の老朽化や部品のディスコンは避けられず、どこかで更新しなければならない。
それにも、コストはかかる。
また更新しても基が古い車両だと、最新技術の導入機会を逸してしまう。
それにより、保守・エネルギー・人件費等のコスト削減の機会をも失ってしまう。
この考え方こそが、あのJR東日本209系のコンセプトの元になっている。
バリューエンジニアリングによる設計思想、ならびにそれを前提とした検査体系の確立による総合的なコスト削減は業界に革命をもたらし、JR他社のみならず首都圏大手私鉄でも「標準車両」として導入が進められている。
初期ステンレス車両やアルミ車両は、古い考え方によって作られており、東急初代7000系が機器更新を経て7700系となり50年以上使われ、そして一部は地方私鉄へ譲渡され更に30年使われる目論見もあるが、今時の鉄道車両・・特に通勤車・一般車は税法上の減価償却期間(13年)を過ぎれば、廃車しても損をしないライフサイクル設計となっており、強度・安全性は向上しつつも経済的にし、いたずらに高寿命にしない設計になっている。
古い車両への車内・機器更新による延命は、既に首都圏私鉄ではピークを過ぎており、今時の設計による車両のコスト低減が効果があると判ってからは、むやみな更新を行わずに新車両を直接投入するようになっている。
既にステンレス車の小田急1000形の世代ですら廃車が出ているが、同年代の関西私鉄の車両なら、ペンキ塗り・パテ盛りの厚化粧を施されてまだまだ現役だというのに、である。
南海の初期ステンレス車も頑丈すぎる結果、車両取替の機会を逸してしまっている。
東京都交通局は東京メトロ以上にシビアで、今は何と8両編成の10-300形1次車(2005年製)を廃車し、10両編成の10-300形6次車を投入している。
首都圏私鉄ならそろそろ機器更新の世代だし、阪急電車ならまだまだ現役世代でこの先30年くらいは茶色の厚化粧をしてでも使い倒すであろうというのにだが、8両編成を機器更新の上組み替るよりも、新しい機器・技術を纏った10両編成の新車を投入したほうが、将来のコストが抑えられるからだ。
同様に三田線6300形1次車(1993年製)も、6500形へ置き換えられる。
(6両編成から8両編成化のため)
特殊な事例で新車置き換えもある。
東京メトロ01系は、ATO運転対応にするには床下艤装の余裕が無く(1980年代当時の設計で限界まで機器を小型化しているが、今となっては小型とは言い難い)、この機会に新技術(特に操舵台車)と昇圧対応を盛り込んだ1000系に全面置き換えされているし、03系もホームドア導入と20m車化・ATO化のために、13000系に置き換えられている。
01系や03系の世代も、これも関西私鉄ならまだまだ現役世代だが、ATOによる自動運転の導入やホームドア設置に応える形で、新車へ全面置き換えとなっている。
また05系の初期チョッパ車は、混雑対応ワイドドア車の15000系に置き換えられているが、これも機器更新せずに廃車している。
社会的・経済的要求に応えるために、古い車両の機器を交換すればまだまだ使えるという訳ではない事例だ。
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