真っ直ぐに作ればどうなるのか?それを考えれば、必然的に答えが出てくるのではないでしょうか?
線路を真っ直ぐにしようとするなら
1. トンネルを掘って一直線にする
2. 橋を架けて一直線にする
3. 高低差を無視して一直線にする
これらの複合になります。しかし、1と2は莫大な資金が必要です。予算の都合を考えれば、トンネル・橋の数は極力減らしたいのが現実的です。となれば、山肌に沿って線路を引いていくしかないでしょう。
3の高低差は、最も重要な課題になります。
まず、「自動車・鉄道車両が何故【力行】をかければ進むことが出来るのか?」ここが重要なポイントです。それは、道路(レール)とタイヤ(車輪)に摩擦力があるから進むことが出来るわけです。摩擦力が一切無ければ進むことができません。丁度、氷の上を自動車で走るのと同じです。どちらも、摩擦力があるからこそ進むことができるのです。
自動車はタイヤが扁平することで、道路との接地面を増やし摩擦係数を向上しています。しかし、鉄道車両はお互いがレールも車輪も金属で出来ており、車輪は扁平すらしません。となると、レールと車輪が接する1点で摩擦係数を向上しなければなりません。となれば、鉄道車両が自動車の様に坂を登れないのは一目瞭然かと思います。また、自動車と違い、重量も全く異なります。
しかし、坂を登るだけではなく、逆に下る事も考慮が必要です。自動車は車重が軽いのでエンジンブレーキでなんとかなるでしょう。しかし、鉄道車両は車重もあり、ブレーキを掛け続けていれば何れブレーキが過熱し制動が効かなくなります。今は、モーターの特性を活かし抑速制動も掛けれる様になりましたが、それでも長い坂を下るには安全面でスピードも出せません(登りと下りでは、下りの方が最高速度が低く設定されています)。
これらの条件からして、高低差を無視して一直線で線路を引くことが出来ないのです。となれば、山肌に沿って緩やかなカーブにして大きな高低差にならない様にグネグネ線路が引いてあるわけです。また、カーブにも角度限界(車両限界)があるので、どうにもならなくなればトンネルを掘ったり橋を架けたりして対応しているわけです。
余談ですが、北陸新幹線の高崎~軽井沢には、40‰(1.7度 1,000m進んで40m上登る)の坂があります。高崎から軽井沢へ行く場合、高崎から一気に加速し、その勢いを利用して軽井沢へ向かいます。途中、安中榛名がありますが、この駅に停車する列車が軽井沢へ行こうとしても、本来の車両性能260Km/hを出すことは出来ず、170Km/hしか出せないそうです。たかだか1.7度でも、鉄道車両にはひぃひぃ悲鳴をあげる様な坂と言うことになるわけです。