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19世紀フランスの文化に興味ありますか?-ダニエル・トンプソン監督からの質問
- 19世紀のフランス文化にはスタンダール、バルザック、モーパッサン、フロベール、ヴィクトル・ユーゴーなどの巨匠が輩出され、印象派も生まれた重要な時代です。
- 映画『セザンヌと過ごした時間』は画家セザンヌと小説家ゾラの知られざる友情を描いた作品であり、ダニエル・トンプソン監督が手がけました。
- 19世紀フランス文化の魅力を知り、映画『セザンヌと過ごした時間』についてのインタビューも楽しめます。
専門家の回答 ( 1 )
- 専門家吉田 修(@osamucom0409) 産業カウンセラー
こんにちは。 読ませていただきました。 >日本の皆さんは19世紀のフランス文化に興味はありますか? この時期、大変興味があります。 フランスといえば、芸術と美食と文化ですね。 美術についてはすでにあなたが映画として描いていらっしゃるとおり、セザンヌの絵画革命があり、これは哲学の分野でもメルロー=ポンティなどが取り上げているように、ものを見るということそのものを芸術の分野で明らかにしていった画期的な仕事でした。 また、美食の分野では、アントナン・カレームの登場により、宮廷に閉じ込められていた美食が、外交の場を通じて世界へと解放されていった過程としてみると、市民革命後の大きな成果といえるかもしれません。 このように考えてみると、これらは、フランスの文化、特にディトロなどの百科全書派と結びついていくと思います。 ディトロは「技術と学問のあらゆる領域にわたって参照されうるような、そしてただ自分自身のためにのみ自学する人々を啓蒙すると同時に他人の教育のために働く勇気を感じている人々を手引きするのにも役立つような」百科事典を編纂していきますが、これはすべてを語りつくそうというフランス的な意志の表れだと思うのです。 つまり、世界へと植民地を広げるとともに、地の分野でも世界を網羅的に獲得しようとする意志の表れだと思うのです。 セザンヌがそうであるように、カレームがそうであるように、フランスという国が、世界を言葉によって網羅的に語りつくそうと多大な努力をした時期、これこそが19世紀フランスの姿だったのではないでしょうか。 20世紀になり、エスコフィエがフランス料理を大成させ、世界中でフランス料理というものが再現発展可能になったのは、カレームの意志そのものの正統な継承者であったからでしょうし、19世紀精神がもたらした大きな成果だと思います。 残念ながら、日本料理にはこのような体系的メソッドは存在しませんし、フランス料理のような国際性を獲得しているとは言えません。 もちろん、日本絵画についても同様で、セザンヌの様に見ることそのものを体系化した画家はいませんし、そういう意味では、日本絵画は現代性・普遍性を持ったものとは言えないと思います。 19世紀フランスに学ぶとしたら、この世界を体系的にわがものにしようという普遍的なものへと向かう意志そのものだと思います。 個性的であることやユニークであることが大好きなフランス人ですが、実は、普遍的なものへと向かう情熱をもった人間の悲哀にこそ、フランス的なるものの本質があるように感じ、19世紀的なフランスの人間像に大変興味があります。 大変面白いテーマをありがとうございました。
吉田 修(@osamucom0409) プロフィール
産業カウンセラー(日本産業カウンセラー協会) 吉田修(株式会社Dream・Giver) ■ご質問者・みなさまへ■ コーチング最新メソッドを使い、自分でできる、気持ちの切り替え方法をご提案しま...
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お礼
ご回答ありがとうございます。OKWAVE Stars編集部です。 個性的でありながら普遍的なものに向かう情熱…ひじょうに参考になるご見識、これもまたものの見方について考えさせられて、興味深いです。