リウマチにかぎらず、免疫系の異常がもとになって発病してくる病気は、女性に多いとされています。たとえば、甲状腺の免疫異常が原因で起こる「橋本甲状腺炎」での男女比は1対25~50、膠原病の代表である「全身性エリテマトーデス」では1対9、「自己免疫性糖尿病」では1対5などとなっています。
実は、妊娠は「非自己」の個体(胎児)を「自己」の体内で育てるという、一種の臓器移植に似た状態をつくりだします。非自己である胎児に対して拒否反応を起こさずに妊娠というむずかしい事業をうまく乗りこえるために、女性では「液性免疫・細胞性免疫」などの免疫機能が、生まれつき男性よりも複雑で巧妙にはたらくようにしくまれている、ということができます。もし免疫機構の異常がリウマチの発病にかかわっているとすれば、複雑でデリケートな免疫機構をもった女性のほうが、その影響を受けやすいということがいえると思います。