スーツは3つの系統に大別されます。ブリティッシュスタイル、アメリカンスタイル、イタリアンスタイルです。オーダーメイドの高級スーツから青山やコナカのスーツに至るまで、すべてのスーツはこの3つのどれかの系統に所属します。
そのうちのイタリアンスタイルが細身で絞った形状をしています。ですから質問者さんのご希望に一番近いのはイタリアンスタイルですね。
いや、そういうのではなくてもうちょっと中性的なスタイルだとおっしゃりたいかもしれません。しかしスーツというのは「軍服」をルーツにしています。軍服がスーツに進化したんですね。スーツの袖には意味不明のボタンが3つか4つ縫い付けられています。これは何を意味するのかというと、元々軍服にボタンが縫い付けられていたからで、じゃあなぜ軍服にボタンが縫い付けられたのかというと、昔プロイセン(今のドイツ)にフリードリヒ大王という戦争大好きな王様がいて、兵隊が袖で鼻をぬぐうのを見て袖で鼻をぬぐわせないためにボタンをつけたからだそうです。また、ネクタイはクロアチアの兵隊のスカーフがモチーフとなっています。フランス語でネクタイはクラバットといいます。また、これからの季節はトレンチコートを着ますが、トレンチとは「塹壕」という意味で、コートの肩にボタン止めのヒラヒラがついているのは、あそこに銃のスリングを引っかけて留めるためなんです。
つまり、軍服なので「カッコいい。強そう。たくましい」と見せるのが前提であり、女性的な美しさを見せるものではないのですね。スーツは男の戦闘服なんです。