マイケルジャクソンが何かの曲に合わせて踊っていたダンスを完全コピー(つまり完全に再現)したということでしょうか。
著作権法は、舞踊に対しても著作権を認めているので、主催者は「権利処理」、つまり権利者の許諾を得ておいた方がいいということでしょう。音楽の場合はご指摘のとおりJASRACという団体が権利処理の窓口となっていてお金を払えば一応問題解決します。
しかし舞踊に関してはそういう便利な(?)団体は存在していないので、自力で権利処理する必要がありますが、実際に誰が権利者か突き止めるのは容易ではありませんし、確実に許諾してもらえる保証もありません。
この場合の著作権者は原始的には振付を考えた人です。マイケルジャクソンが自分で自分の振付を考えたのであれば、マイケルジャクソンが著作権者ということになりますが、彼はすでに他界しているので、他の誰かに相続しているはず。マネジメント会社なのか親族なのかはわかりません。しかし少なくとも彼の死後50年は著作権が存続します。アメリカの法律では著作権が70年存続することになっています。
マイケルジャクソンでない誰か(専門の振付師?)があの振付を考えて、その振付に関する権利を保持しているのであれば、その人に連絡をとって許諾を得る必要があります。アメリカの人たちですから英語で交渉する必要があります。自分で交渉できないなら誰か代理人を立てて交渉する必要があります。
ただダンスを踊りたいだけなのに、かなり面倒くさいですね。
ということになると現実的な対応策は次のように限られてくると思います。
1.とりあえずイベントでダンスを再現して実現し、後で権利者からクレームが来てから交渉を開始する。そうすれば権利者が誰かを特定する手間が省けます。ただし権利者から確実に許諾を得ないまま実演だけしてしまうので、実演後に権利者の要求にあなたが応じられない場合は裁判沙汰になる可能性があります。
日本の判例では舞踊の著作物に対して著作物性を認めるハードルが結構高くて、かなり顕著な独創性がないと独占権を認めていません。マイケルジャクソンのダンス程度だと著作物性を認めない可能性もあるので、裁判で争えば勝てる見込みもあるわけですが、弁護士費用など別の出費や手間がかかります。
2.面倒くさいから実演を中止する。何となくイベント主催者の意図はここにあるように思いますけどね。イベント主催者としては、権利処理でもめ事を起こすくらいならトラブル回避で安全サイドに立ちたいということなのではないでしょうか。
3.あなた自身のオリジナル振付を考える。マイケルダンスの特徴(エッセンス)を残しながら大部分で新たに振付を考えるということもできるはず。完全再現にこだわると権利の問題が出てくるのでオリジナルにすればよいと思いますよ。日本の判例に照らして判断するなら、エッセンスだけなら著作権が及ぶことはまずありません。
1は難しいし、今更2を選ぶわけにも行かないなら、3しかないと思います。よくイベント主催者と相談して決めてください。