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カメラレンズの特性評価方法とは?
- カメラのレンズの特性として世間では「発色特性に優れたレンズ」「階調特性に優れたレンズ」「コントラストの高いレンズ」「解像力に優れたレンズ」といった表現がされています。
- 解像度についてはカメラ雑誌にもテスト結果が掲載されますが、他の要素に関しては感想的な言葉で語られるだけです。
- 「発色」「階調」「コントラスト」の3要素について優劣を引き起こす科学的な要因と測定方法、単位について教えてください。
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締め切られた質問の方での解説は具体的な例を挙げたにも関わらず、御理解いただけなかったようなので、ちょっと乱暴ながらも単純化した解説に修正します。 「発色特性」と「階調特性」の計測単位は「Contrast 特性 (MTF 曲線)」で示される Contrast 値です・・・つまり 0 から 1 までの小数点か 0 から 100% までの百分率が計測単位となります。 輝度そのものの単位は Lux (被写体の照度) または Lumen (Display 光源等) となりますが、Contrast 値は 2 つの輝点に於ける輝度比ですので、単位名を持たない数値 (比率) だけとなります。 3 要素の関係は乱暴に言えば (単純に言えば)、「発色特性が良い」=「Contrast 特性が良い」=「階調特性が悪い」であり、「階調特性が良い」=「Contrast 特性が悪い」=「発色特性が悪い」ですので、どの特性も「Contrast 比」さえ示されていれば良いのです。 なお、「発色特性」も「Contrast 特性」も「階調特性」も必ず 2 点以上の「比較」で評価されるものですので、1 Pixel (画素) だけの輝点は「発色特性」も「Contrast 特性」も「階調特性」もありません。 画面全体となると、Lens 中心部は「Contrast 特性が良く」=「発色特性が良く」=「階調特性が悪い」ものであっても、周辺域は「階調特性が良く」=「Contrast 特性が悪く」=「発色特性が悪い」ものとなるのが普通で、この場合は「Lens 中心部では高い Contrast 特性と発色の良さが際立っており、周辺域では良好な階調特性を有している」といった褒め言葉と共に「Lens 中心部では階調特性に難があり、周辺域では Contrast 特性も発色も悪い」なんて悪口も言えるわけですね。・・・後者の言い方は絶対にしない筈ですが(笑)・・・。 これら「発色」「Contrast」「階調」の 3 要素を一目で判断できるようにした性能表が前回の御質問に対する回答で紹介した MTF (Modulation Transfer Function) 曲線図です。 MTF 曲線図は Seidel の 5 収差全てを Lens 中心部から周辺部に向かって Contast 比という単位で示したものですので、どの収差がどんな色合いを生み出すのかまでは判断できません。 ちょうど Audio 機器で周波数に沿った THD+N (全高調波歪+全静雑音) 値の図を示すようなもので、2 次高調波歪なのか 3 次高調波歪なのかで音色が変わりますし、方形波の雑音なのか正弦波や矩形波の雑音なのかでも音色が変わり、そもそも混変調歪や動的歪及び動的雑音は示されていないのですから、THD+N 図だけからは音色など判りよう筈もありません。 >「発色」「階調」「コントラスト」の3要素について優劣を引き起こす科学的な要因 Lens の色合い (味付け) は殆どが収差性能と光の透過性能で決まると言っても過言ではないと思いますが、収差だけでも Seidel の 5 収差といったように大きく分けて 5 種類ある上に感光面のどの位置での収差なのかで無限の測定値が得られますし、光の透過性能も波長別に無限の計測値を得られますので、1 つの計測数値や全体の平均値で性能を判断できるものではなく、感光面位置 (Lens 中心部からの距離) や光波長を一方の軸として、Contrast 比値や Lux (或いは Lumen) 値をもう一方の軸とする Graph で表すしかないのです。 Seidel の 5 収差を各収差別に MTF 曲線化したり波長毎の光透過率を曲線で表すことは不可能ではありませんが、そこまで細かく例示しても理解できる人は少ないものですので、一般的には各収差には分けない全収差での計測値を 2 点 (10 本/mm と 30 本/mm) の空間周波数域で示した Graph である MTF 曲線が例示されています。・・・でも MTF 曲線を示しても「Contrast 比率が高いものが性能が良くて、発色も Contrast も階調も良いに違いない」などと誤解する人も多いでしょうから、評論では感覚的な言葉による解説が行われるわけですね。 Pro' や Mania 向けの詳しい計測情報を載せている雑誌もないわけではなく、昔は Lens 中心部からの距離を縦軸に、RGB 毎の収差 (焦点のずれ) を横軸にした曲線図で Apochromat 特性を紹介していたものがありましたね。・・・確か ASAHI GRAPH じゃなかったかと記憶しますが、天体望遠鏡の Lens 性能図では今でも良く見かけますね。 なお、科学では単位系は殆ど全てが MKS/cgs 単位系で構成されており、目的に応じて時間 (S または s) で微分したり積分したり、或いは係数を掛け合わせて別の単位系 (表現) に書き換えているだけですので、全てを MKS/cgs 単位系だけで表現することができ、2 つの計測値を比較する単位系は単位名を持たない数値のみのものとなります。・・・・例外的に Audio では dB (Decibel) という対比系がありますが、dB は Phone や Volt といった単位とは違って、あくまでも 2 つの計測値を対数比較した対比系でしかありません。 「発色」「Contrast」「階調」はいずれも 2 つ以上の輝点を比較して初めて得られるものですので比率を示す数値でしかなく、単位などはないのです。 ちなみに「階調」は「暈かし」と良く似ています。・・・ただし「暈け」ではありません。 Pint が合っていない部分の「暈け」は英語でも「Boke」という日本語が採用されており、水彩画等に於ける滲みのような「暈かし」は「Blur」という英語になりますし、意図的な「Boke」と意図しない Lens 性能に起因する「Blur」とでは原因となる収差の種類や構成比が異なります。 光の反射率 (照度) が滑らかに変化して周囲の色に溶け込む「暈かし」が如何に滑らかで細かいものであるかを「階調性」で表現するのですが、一方で「輪郭が暈かされることなく、はっきりくっきりした部分」は「いきなり色や輝度が大きく変化して輪郭部の色彩が際立つ部分」ですので 「Contrast が高い部分、或いは発色性の良い部分」となります。 このため「階調性の良い」部分は「暈かし」がかかったように滑らかに変化することから「はっきりしない、Contrast が低い、発色性が悪い」といった表現もできるのですが、色合いが滑らかに変化することが求められる背景域や暈けの部分では MTF 曲線図の Contrast Curve が滑らかに下降している Lens の方が良好な階調性を得られるというわけですね。・・・だから MTF 曲線が Lens 端まで高い Contrast 比を維持して殆ど Contrast 比が低下しない Lens が「性能が良い=発色が良い=階調性が良い」とはならないわけです(^_^;)。 Audio でも究極の階調性を示す Single Bit Digital to Analog Conversion 方式は得てして Creamy と言うか Mellow に過ぎて Punch 力に欠けるとして大音量域は動的な階調性低下、逆に言えば高い Contrast を生み出す Multi Bit Digital to Analog Conversion 方式が採用されているものがあるのですが、はっきりくっきりさせたい主体部分は Contrast を高めて発色を良くし、背景に溶け込む部分は滑らかな変化で溶け込む階調性の良さが求められるというわけです・・・Audio は御質問とは関係ないか(^_^;)。 素敵な Camera Life を(^_^)/
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- i-q
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>>客観評価できれば、メーカーは比較して >>優秀さを示すことができるので隠す必要はないと思うのですが? 企業にとっては賞賛より売り上げです。。ノウハウは表に出したくないと思います・・・ レンズ比較サイトにとっては、それが売りなので同じく公開する理由はないでしょう??
- i-q
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科学的に共有されている単位とか基準は無いと思うよ。。 いくつか、独自のレンズ判定基準(レンズの性能を数値化)を設けて測定している 所がありますが、どこもおおまかな測定法のみ公開して 詳細は秘密にしてます・・・
お礼
ありがとうございました。 なぜ違いが出るのか?例えば波長によって透過率が異なるからとか 振幅によって透過率が変化することがあるのか?とか・・・・ 客観評価できれば、メーカーは比較して優秀さを示すことができるので 隠す必要はないと思うのですが?
補足
一日待ちましたが、明快な答えは出ません。 ということは、こんな量はないんじゃないかという 私の推測がかなり確からしくなってきました 裸の王様という寓話があります。 王様は仕立て屋に騙されて馬鹿には見えない服をかわされます。 まわりの誰一人服は見えないのですが、「福が見えない」といえば バカと言われるので見えるふりをしていたという話です。 つまり、階調の良いレンズは存在しなくとも、偉い人が「やはりこのレンズの 階調は素晴らしい」とか、「このレンズの発色は素晴らしい」といえば 自分にはわからなくとも「その通りですね、全然違いますね」って 言ってしまうでしょ! ということで、階調・コントラスト・発色など幻想なんだと思えるのです。
お礼
大変明快で詳しいご説明ありがとうございました。 要するに「発色」「コントラスト」「階調」と並べていますが すべて同じ事象のことを言っているのですね。なんのこっちゃ・・・ それなら、MTF曲線だけで十分ということもわかります。 でもこのことを理解しているのはカメラ雑誌を読む人にとって 普通なのでしょうか?そうとは知らずウンチクしている人が 多いように思うのですが・・・・ Audioの件も良くわかりました。