大気の状態が不安定になりますと、そのようになるのです。
例えば、地表の空気(大気)を大きなビニール袋に捕まえて、密封したとします。
これを、上空に連れて行ったとします。大気というものは、ラプスレート(lapse rate)(断熱減率)と言って、1000feet(約300m)上昇するごとに約3℃(相対湿度100%に達すると約1.5℃)下がっていきますので、大きなビニール袋に密封されたその中に温度計を入れておくと、この通り温度は下がっていきます。
さて、この周囲の大気、すなわち、大きなビニール袋の 外の 大気については、これはその時のその場に勝手にいる大気のことになりますので、何度であるかなんて分かりません。(地球の平均値は1000feetごとに1.98℃とされていますが これと実世界のその地域のその時の大気の状態とは何の関係も無し。)
この時、周囲の空気の温度の方が、ラプスレート(ビニール袋の中の空気)よりも暖かい状態の時のことを lid on(蓋がされた状態)といって「大気の状態が安定した日」になります。なぜなら、冷たい空気の方が重いので、手を放せばそのビニール袋は勝手に下がって元の場所へ戻るからです。
これが、周囲の空気の温度の方が、ラプスレートよりも寒い場合、手を放せばそのビニール袋は勝手に上昇していってしまいます。これが上昇気流を作り、強い上昇気流はCb(積乱雲)を作り、このCbが激しい降雨を伴うのです。
このように、大気の温度がラプスレートの温度よりも低い場合、つまり蓋が無い日のことを、日本では「大気の状態が不安定」と表現したりしているようですね。
何をきっかけに上昇気流が生まれてもいいですが、その何らかのきっかけでできてしまった上昇気流がどんどん加速していってしまうのが、“大気の状態が不安定な日”の特徴です。上空に冷たい空気が流れ込んできてしまう日なんてまさに、蓋のない日になりやすいのです。それとかこれから夏、地表の空気が異様に暖められる日とか。
雨が降る原理は、積乱雲の過程でも勉強してもらえば分かると思いますが、
簡単に言えば、湿った暖かい空気が上空に連れて行かれれば、ラプスレートの通り冷えてそのうち相対湿度100%に達し雲や雨粒が出ますが、Cbの場合はその上昇気流があまりにも強く、雨粒だろうが霰だろうが雹だろうがおかまいなくがんがん上空に上げていってしまうのです。
やがて耐えられなくなった重さは、、どーっと今度は逆さに落ちてきまして、ひどい土砂降りと共に強い下降気流を伴います。