左打者の有利性はベースが近いだけではありません。その選手が足の速い部類のプレーヤーだった場合には内野手には精神的な重圧が掛かります。これはミスを誘う要素ですし、僅かに前で守る選手もいるでしょう。これはヒットゾーンを広げる要素です。
30年以上野球をやってきましたが、社会人になってから質問者さんと同様のことを一瞬あたまを過った事がありました。
しかし、すこし考えて「現実的でないな」と感じましたので、その理由を箇条書きします。
1.一直線上に二つのベースを1m以内という僅かな間隔で配置することは、走者にはもちろん、守備側にも危険が大きい。
2.左打者のヘッドスライデイングが制限される。
3.打者ごとにインプレーの対象となるベースが変わるため、守備・審判の負担が大きい。
わたしの経験では1の理由が非常に強力ですので、2と3はオマケのようなものです。
黎明期も含め、過去にそのような議論があったかは不明です。ただ、頭に浮かんだ人はいたでしょうし、「こんなのってどう?」などと仲間内で話題になったことは当然たくさんあったことでしょう。しかし、正式の場での議論にまでは発展することはなかったと思います。
私は右打者だったため、左打者の有利性は常々羨ましく思っていました。そんな私でも1.の理由により、ファーストベースが二つあるフィールドでプレーしたいとは思いません。
野球よりもはるかにゴロが際どいタイミングになりやすソフトボールで、インフィールド内のファーストベースの真横に打者走者専用の触塁ベースが並んで設置されるような合理性は全くないとも思います。
質問の趣旨とは少し脱線しますが、こういった事も考えてみました。
左投手さえ苦にしなければ確かに左打者は圧倒的に有利です。右打者であったとしても偉大な打者になっていたであろうイチロー選手が、もしも右打者だったならばヒット数や記録への影響も少なからずあったと思います。
これ程までに有利なのになぜ、親や指導者は右打者を左打ちに転向させないか疑問ではないでしょうか?
私は現在、少年野球の指導に携わっていますが、人によって左右で元々打ちやすい方があるのです。これは打球の飛距離に大きく影響します。たとえば右打者がスイッチヒッターを志し、数年後に左打ちに熟練できたとしても打球の飛距離は自身の右打ちには絶対にかないません。
打球を遠くに飛ばすという、速球投手と並ぶ野球最大の魅力のひとつを小学生のうちから捨てさせるような指導者や親は少ないからだと思います。
(追記)
ただし、ある小学4年生(右投げ・右打ち)が打撃があまりにも悪かったので試しに左で振らせたところ非常にきれいなスイングをしたため本格的に左打ちの練習をさせたところ、すぐに打ち方になれ、右と変わらない(それ以上?)に飛ばせるようになった子供をみたことがあります。稀な例との見方もあるようですが、実際にはこういうケースは少なくないようです。
お礼
ありがとうございます。 確かに、実行するには煩雑過ぎますね。 また、左打ち転向のはなし、なるほどと思いました。飛距離はかなり先天的なものなのですね(だからドーピングが流行ったのかも)。