放射線技師です。一応、普段どちらの検査にも立ち会っていますが、医師ではありませんので、「そういうこともあるんだー」くらいの気持ちで読んでいただけるとありがたいです。
>転院した病院でまたイチから検査をしなおすものですか?
基本的に、現在通院されている病院からの紹介で転院するのですから、検査結果などの診療情報は全て転院先に提供されます。
そのうえで、さらに必要な検査があれば、行うことになります。
>『排尿性膀胱造影』
膀胱に造影剤を注入し、さらにそれを排尿させます。このとき腹圧がかかり、正常であれば尿道を通って排泄されますが、何らかの原因で、腎と膀胱をつないでいる尿管の方に逆流する現象がないかどうかを見ます。
お子さんの場合、すでに水腎症になっているわけですから、これが、膀胱に流れなくて腎にたまっているのか、はたまた膀胱から逆流してたまっているか、(またはその両方か)を判断したかったのだと思います。
今回は、逆流が見られなかった、ということで、「膀胱尿管逆流症」は否定されたようですね。逆流がなければ、おっしゃるとおり、尿路感染は起こしにくいです。ただし、あくまで逆流がある人と比べて、です。水腎症でない人でも尿路感染を起こすことはあります。
さらにお子さんは、水腎症を起こされていますので、尿の流れが悪くなっており、尿が停滞する時間が長い状態ですし、可能性は全くゼロではありません。
>『腎利尿レノグラム』
微量の放射線を出す、腎臓へと集まるお薬を血液中に注入し、それが腎で濾されて、さらに膀胱へ流れていく様子を時間を追ってみていく検査です(つまり、放射能の量が、血中→腎→膀胱へと移行していく様子を見ていきます)。
血液中に入ったお薬は、通常すぐに腎にとりこまれますが、腎の機能自体も落ちていれば、なかなかお薬が血中から腎に移行しません。この時点で、左右の腎がどれだけずつお薬を取り込んだかでそれぞれの機能を見ることができます。
水腎症になっている腎は、すでに濾過機能を失っている可能性もあります。その場合、血中から腎へお薬の移動が見られませんので、無機能腎、という判断ができます。
さらに、このお薬が膀胱へと移動していくのですが、水腎症の場合、多くは尿管のどこかが閉塞していることが多いです。このとき、本当に閉塞しているのか、または狭いだけなのかをみるために、途中で利尿剤を投与します。それまで膀胱にお薬が移動しなかった場合でも、利尿剤を入れると途端に流れ出すことがあります。
ちなみに、質問者様のおっしゃる通り、ある程度の場所は分かりますが、レノグラムは、あくまで機能を見る検査であって、CTや、MRIのような詳細な形態画像は得られません。ただ、尿管には、「生理的狭窄部」といって、比較的狭くなりやすい場所が三つあります。「腎盂尿管移行部、総腸骨動脈交差部、尿管膀胱移行部」というところです。小さいお子さんの場合は、「腎盂尿管移行部」の狭窄が多いですので、この場所かどうか?という程度なら分かります。
厳密に場所を確定させたい!という場合には、CT、MRIを撮るかもしれません。
多くの場合(特に、腎盂尿管移行部狭窄による水腎症)は、このふたつの検査と、超音波検査である程度の診断がつくことが多いです。
前述の通り、小児の水腎症は「腎盂尿管移行部狭窄」が多く、その6,7割を占めるようですが、それ以外だと尿管内の腫瘤、異所開口尿管、尿道弁の異常等、多岐にわたります。この場合はMRIや、更に別の検査が必要となる可能性があります。
気をつけて聞いておいた方が良いこと・・・難しいですね(苦笑)
まずは、当然ですが診断名でしょう。
それから、どちらの腎がどれくらいのレベルの水腎であるか、反対側は正常であるのか。それから、水腎症の原因。
医師は紙に図を描きながら説明してくださることが多いと思いますので、その紙をできればもらって帰ってくることをお勧めします。
ですが、質問者様は、こうやって、分からないことを後から文章にできていますので、そこまで力んで行く必要はないのでは?と思います。
後から「これも聞けば良かった!」となっても、次に病院に行くときに聞けば良いのですから。
長くなりましたが、読んでいただきありがとうございました。
お大事になさってください。
お礼
早速の回答ありがとうございます。 逆流症ではないということは尿路感染は起こしにくいということなのですね。 ネットで色々と検索していると、尿路感染により腎臓の機能が落ち手術になるお子様が多数いらっしゃったので、そこが一番気になっておりました。 そして普通の人でも尿路感染になるということを知って、気をつけなければならないなと思いました。 『腎利尿レノグラム』はどういった経緯で調べるのかを漠然と知ってはいたのですが、こんなに詳細に教えていただいたのでとてもわかりやすく理解できました。思わず「なるほど!」と声に出てしまいました。 厳密に場所を確定させたい場合や「腎盂尿管移行部狭窄」以外の場合にMRIを撮るのですね。 質問文に記載するのを忘れておりましたが、左の腎臓がレベル3で、右もほんのすこーしだけ開いてると聞いておりました。 ・・・が、これもネットで見てみると、このレベルも0~4段階とおっしゃってる方や、1~5段階とおっしゃっている方がいらっしゃったり、「逆流はレベル○」と言うように書かれている方も居て、『レベル○』というものは何を指すもの??と更に疑問になってしまったところです。。 次回先生に聞こうと思います。。 『わかってない』ので、トンチンカンチンな質問をしていたかもしれませんが、とてもわかりやすく私の疑問にお答えくださりありがとうございました。感謝いたします。 本当にありがとうございました。