London Fogは1922年でしたか、メリーランド州ボルチモアに設立
された会社が母体となり、すぐ近くのLondontownという街に移って
Londontown Clothing Companyとなり、この会社の中心ブランドとして
永年良質なレインコートを供給してきました。が、ここ数十年は
生産をアジアや中南米に移し、一般大衆向けのレインコートメーカー
として活動しています。現在の社名は御多分にもれず、あまたの合併
買収の後、London Fog Industries, Inc.となって、Pacific Trailと
いったブランドなどを含むアウターウエアの総合メーカーとなって
います。昔の物ならいざ知らず、現在の物はケーリー・グラント
が生きていたら着たかというと、正直?です。
スリーピースの上にレインコートを着ても、日本の秋冬の気候で
あれば一向に構わないと思います。ニューヨークでは時より土砂降り
ということもないではないですが、一日雨が降っていることは
まずありません。朝方か夕方か、または夜か、ちょっと我慢すれば
傘がなくとも大丈夫です。ロンドンの雨もLondon Fogという名の
通り、霧状の雨が多く、傘では役に立たない、むしろレインコート
着用の方が傘をさすより濡れないのです。
もうひとつ、英国の紳士階級は非常時は軍の指揮官となるわけで、
そもそも軍人は傘をさす事などありえないのです。よって傘は常時
ステッキの代わりやタクシーを停める際に使われることとなる。
またアメリカのエリート経済人の多くも(今ではそうでもないが)、
ちょっと前までは太平洋戦争や朝鮮戦争等を経験してきた人が多く、
傘をさすよりレインコートにレインハット、そして雨がひどければ
ガロッシェ(雨用オーヴァーシューズ)という出で立ちの方を
好みます。さらにニューヨークでは冬には吹雪の中を通勤という事態
もあるので、ウールライナー付き、そして同じ素材のカバーが襟にも
付いたトレンチなどのレインコートを真冬にも着るのです。こうなると
足元はL.L.ビーンのメインハンティングシューズしかありません。
特に上流階級は田舎に住んでいるので、これらはレンジローバーと
同様、生活必需品なのです。こんな時にはカシミアのオーヴァーコート
を着るより、レインコートの方がより合理的で実用的で、その上
何物にも負けない”力強い男らしさ”があるのです。
お礼
ご返答ありがとうございます。 london fogについては殆ど情報がなく、気になっていたので助かりました。実はlondon fogのトレンチコートを訳あって手に入れたのですが、 1970年代のヴィンテージということだったのですが、この時代の物となるとあまり品質は良くないのでしょうね・・・少し残念です。 レインコートの使い方は大変参考になりました。