質問とは関係のない蛇足ですが、気になる点があったので一言言わせてもらいます。
下の方が言っていることですが、
>実はこれらの監督はヨーロッパで評価されたことで日本国内での地位を高めたという、日本人としてはちょっと情けない経緯がありまして、
これは事実とは異なりますね。
外国における小津・成瀬の評価は明らかに出遅れています。
小津は1970年代から、成瀬巳喜男は回顧映画特集をきっかけとして1980年代に入ってからようやく外国での評価の機運が高まりました。
1950年代の評価されるべきときに彼らは外国で評価されなかったのです。
1960年代の最晩年に小津は映画監督として唯一の日本芸術院会員に選ばれています。6度にわたるキネマ旬報1位はいまだに破られていません。
昭和30年代中に無声映画出身のベテラン監督はほぼ全員新作を撮れなくなりましたが、成瀬は昭和42年に体調不良ながらも東宝35周年作品を任され、高い評価を得ています。黒澤明にしろ岡本喜八にしろ、成瀬の助監督世代はみんな成瀬のことを別格視して尊敬していますがこれは外国の影響によるものではありません。
最近は日本国内におけるかつての映画史は全て間違っており、正しい映画史の全ては外国に作ってもらったかのような誤解が蔓延していますが、それは昔の映画史が日本に存在してもらっては困る側、あるいは某外国の発掘こそが映画史を作ったことを喧伝したい側の言い分によって引き起こされた事実誤認にすぎません。
小津・成瀬の評価が出遅れたのはあくまでも外国なわけですから、そのために再評価機運がタイムラグで日本において生じたとしても、その点について日本人は何ひとつ恥じる必要などないでしょう。