「てめえは反則したくせに他人の反則には抗議かよ」とか「どうせ秋山だからこんなものただのいちゃもんだろ」というのは感情論としてはあるでしょうが、ルール問題として考えた場合は秋山陣営が提訴するに足る要件は揃っているんじゃないでしょうか。
反則にも色々なケースがあります。
1:意図していないが攻防の流れの中で結果的に反則行為になってしまった場合(バッティングやローブローはこのケースが多いと思います)
2:反則とわかっていてあえて犯す場合(ハイアン・グレイシーやギルバート・アイブルがよくやりました)
3:ルールの理解不足または馴染んでいなかった場合(ムエタイの選手がK-1ルールでヒジを入れてしまう等)
相手のダメージや頻度によって口頭注意からその場で失格まで、裁定の巾があります。
現時点では反則という判定が下っていないのでこういうのもおかしいのですが、今回の三崎の行為はおそらく3に該当するのかと思います。
ダウンカウントの無いルールですし、相手がぐらついたところに反射的に追撃を入れるのはかつてのPRIDEルールが身体に染み付いている選手なら仕方の無いことなのかも知れません。
で、問題は
A:蹴りが顔面に入っていたから反則なのか
B:4点ポジションの選手の頭部付近に攻撃を仕掛けたから反則なのか
だと思います。
もしもAだったら、反撃の機会を反則によって絶たれてしまった、と対戦相手が考え、抗議するのは当然のことです。
※リンク先の写真は胸の辺りに蹴りが当たっているように見えますが、別の方向から撮った写真の中には顔面に入っているように見えるものもあります。いったん顔に当たってから足が流れたのかもしれませんし、そうではないのかもしれません。
顔面に当たっていないから反則ではない、とするためにはできるだけたくさんの角度から撮った動画や画像を検証しなくてはなりません。
Bの場合を考えてみましょう。
仮にマットに両手両足をついた状態(4点ポジション)で相手が顔面を蹴ってきたら、その防御が果たして有効かどうかに関わらず反射的に腕を上げてガードしてしまい、4点ポジションではなくなります。
「ほら、当たった時点で相手は4点ポジションじゃないんだから反則じゃないでしょ」ということになるのかどうか。
こういう解釈が通用してしまっては「4点ポジションでの頭部への蹴りは禁止」というルール自体無意味になってしまうと思います。
ですから、4点ポジションの相手の頭部付近を蹴り上げようとした時点で反則、とするべきかなと考えます。その蹴りが顔面か首か胸の、いずれに当たったとのだしても。
ただ、現実問題としてはあの試合の背景や会場の雰囲気、三崎の勢いなどの作用を考えてみればレフェリーはその場で反則を取ることはできなかったでしょうし、過去の試合を考えてみれば似たような曖昧なジャッジはいくらでもあるので、試合結果については適当な落しどころだったと思います。
しかし、大きな問題点がまた別にあるのです。
今回の「やれんのか」の主催者は公式ルールの全文を何故か公開していないのです。
記者もネットの発言者(わたし含む)も、そしておそらくは選手自身も発表されているルール抜粋をもとにあれこれ推量してそれぞれの持論を述べているのが現状です。