高校時代、山岳部に所属していて比良はホームグラウンドでした。
危険度ですが、どの辺を基準にするんだという疑問はありますが、比良を5にしてしまったら北アの立場はどうなるんだ、という観点で言えば2くらいですかね。
少なくとも、ある程度まともな「冬山」としては、関西の中では最も技術的には容易な部類でしょう。伊吹山とか鈴鹿の冬は、比良よりは難しいなぁ。
初心者が勉強しながら冬山を覚えていくには良い山でしょう。
もちろん事前の十分な勉強と準備は不可欠ですが、初心者だけで登るのが不適切な山とも思いません。
比良が初心者に適しているのは、「山中のどこからでも2時間もあればエスケープ可能」という点です。まあもちろん「ルートを間違えないこと」という前提のもとですが。
降雪もけっこう本格的ですし、冬の季節風をモロに受ける立地なので吹雪けばこれもけっこう本格的に荒れるのですが、とにかく「山が浅い」ので、ドツボにはなかなか嵌りにくい山です。
とはいえ、関西では有数の「事故が多い山」ですから、決して舐めてかかって良い山ではありませんが。(でも事故が多いのは入山者の絶対数が多いという理由もあると思いますが)
装備ですが、私は高校3年間、冬の比良でアイゼンを使ったことはありません。武奈ヶ岳の山頂直下など、厳冬期はそれなりに堅い雪になる場所もあるので、軽アイゼンくらいは持っていっても良いとは思いますが、逆に考えると冬の比良でアイゼンなしで歩けるくらいの歩行技術を身に付けないと、まともな冬山にはステップアップできません。
むしろワカンは必需品でした。今だとスノーシューでしょうかね。
他は一般的な冬山装備一式です。ピッケルは使いどころがありませんけど。
ウエアはきちんとしたアンダー、中間着、アウターは必要でしょう。
アウターはレインウエアを代用しても良いです。
ルートですが、武奈ヶ岳周辺に話を限ると、琵琶湖側の方がどちらかというと「危険な」ルートが多いです。北比良峠付近や青ガレ付近は、滑落するとちょっと痛い目に遭いそうですし、そもそも青ガレ付近は堂満岳ルンゼからの雪崩の危険があります。青ガレ付近は夏場でも落石が多く「危険地帯」です。
また、八雲ヶ原から武奈ヶ岳に至るルートは、実はけっこう地形が複雑なのでトレースがない時や荒天時はルートを失いやすいです。
私も2回、大迷いしました。同級生はビバーク寸前まで追い込まれたことがあるそうです。
西側から(比良は全て滋賀県なので「京都側」は存在しません)のルートは、坊村から西南稜を経て武奈ヶ岳、というのがロープウエイ亡き後の武奈ヶ岳への最もポピュラーなルートになっているようです。
ま、このルートだと大部分樹林帯ですし、西南稜では「本格的な雪稜気分」を味わえるので、人気があるのも判ります。登山者も多いのでトレースもしっかり付いているでしょうし、初心者パーティーの第一歩としてはやはりこのルートがお奨めでしょうね。地形も単純なので迷いにくいし。
技術的にはとにかく地図読みは必須です。
荒天で視界が効かない時は、武奈ヶ岳山頂からの下山ルートを間違えて西南稜とコヤマノ岳方面を取り違えやすい地形です。晴天でもきっちり地図を読んで方角を決めて行動する習慣をつけて下さい。
あと、西南稜にはけっこう本格的な雪庇ができます。とりあえず踏み抜かずに歩くよう気をつけてください。ま、荒天時はそれも難しいですが。
でも、雪庇を踏み抜いたからといって即事故!というわけではないのが比良の良いところです。私も高校時代、何度踏み抜いたか・・・
大学からは冬は穂高や後立山に入っていましたが、冬山の「要素」は比良でもほぼ備えているのですが、それぞれの要素の「シビアさ」は北アと比良では比較するのも北アに失礼なほどです。
比良ではよほど運が悪いか、愚かな行動を重ねなければ最悪の事態に陥ることはあまりないということは言えます。まあ最近は比良での事故も多いのですが、伝え聞く限りでは「愚かな行為」を重ねた結果としか言いようがない事故が多いですね。
そういう意味では、初心者のみのパーティーが1つずつ冬山を覚えていくには良い山だと思います。まあ冬山をやるならいずれは組織に属することを真剣に考えなければならないのですが・・・
十分気をつけてください。楽しい登山になることをお祈りしています。
お礼
たいへん丁寧なご回答、どうもありがとうございました。 今回は天候不良が予想されたので、比良登山を見送りました。 2008年中にトライするつもりです。 ビバークできるだけの技量は習得していきたいと思います。 どうもありがとうございました。