参考図書の話を忘れていました。
質問者さんがウイルスと細菌の区別が付いてなかったからといって恥じる必要はありません。ちゃんと知っている人の方が遙かに少ないです。
獣医や医者でも臨床系の人は大事なことを知らなかったり重要な勘違いをしていたりするものです。
医者や公的機関のサイトにも「低温・乾燥の環境ではインフルエンザウイルスの活動が活発になります」という、イスからずっこけるような文章が見つかりますから・・・まあ医者でも臨床の人が書いた基礎系の話は、端折りすぎていたり勘違いがあったりでけっこう間違いを含んでいるのは普通のことですが。
私は一般向きのウイルスの本は読まないのでお薦めの本といってもあまり心当たりがないのですが、専門的な本で良ければ「医学ウイルス額(近代出版)」という本がお奨めです。
最新が96年版なので記述がやや古いのですが(分類が古かったりインフルエンザのHA亜型がまだ14種類だったり)、ウイルスの構造や増殖の仕方といった"総論"と、それぞれのウイルスによってどんな病気が起きるか、疫学、症状、診断法、治療法、予防法といった"各論"に分かれていて、一般の方でも読めるところは多いと思います。
一応専門書なんだけど、本当に専門家が仕事に使うにはあまり参考にはならない、という絶妙なポジショニングの本です。おそらく臨床医のための教科書的なコンセプトの本かなと。
まあ、医者もこの本の総論くらいはきちんと読んでからwebにテキストとか書いて欲しいとは思いますが。そうすれば「低温・乾燥した環境でウイルスの活動が活発になります」なんて文章は絶対に出てこないはずなのですが。
高い本(13,000円くらい)なので、買うのはちょっとためらうでしょうから、図書館で借りて読んでみることをお奨めします。少し理解できて面白くなれば購入すれば良いかなと。まあ専門書としては非常に安い方なのですが・・・
ウイルスは学名が他の生物のようなラテン語の二名表記ではなく、英語なのでまだ親しみやすいです。Escherichia coliなんて書かれてもなんのことやら、という感じでしょうが(大腸菌の学名です)、インフルエンザウイルスはInfluenza virusが学名です。
科や属になるとラテン語も出てきますが、それも由来が明白なものが多く覚えやすいです。エンテロウイルスのエンテロは「腸管」という意味ですし、電子顕微鏡で見るとスパイク蛋白がぴょこぴょこ飛び出ていて太陽のコロナのように見えるからコロナウイルス、なんて感じです。
ウイルスが非常に変わっているのは、とにかく構成要素が極めてシンプル、ということに尽きます。なんせ大雑把に言ってしまえば、「遺伝子とそれを入れるタンパク質の殻」が全て、です。
つまり遺伝子を翻訳してタンパク質を合成したりする器官を持たないため、「ウイルスは細胞内でしか増殖できない」わけです。
なのでウイルスは増殖以外の生命活動をしませんし、その増殖も細胞内でしかしません。環境中のウイルスは「モノ」でしかありません。
そういう存在ですから、乱暴に言ってしまえば「増殖を理解すればウイルスは理解したも同然」ですし「遺伝子を理解すればウイルスは理解したも同然」というわけです。
・・・ま、実際はその増殖が絶望的なほど複雑なのですが、一般の方は掴みさえイメージできれば十分でしょう。
遺伝子も、高校の生物程度の学力があれば、とりあえずイメージは掴むことができると思います。多少理解できない単語が出てきても、なんとなくイメージはできるでしょうし。
一度図書館ででも読んでみて下さい。
お礼
ご回答ありがとうございました。専門的で、非常に参考になりました。 一つ疑問に思ったのですが、環境や気候の異なる以下のような条件の場合、 風邪や病気の症状や、かかり易さ、発生するウイルス・細菌の種類等も違うのでしょうか?? A 低温・乾燥(…例えば冬の東京等 B 低温・多湿(…例えば冬のイタリア・ギリシア等 C 高温・乾燥(…例えばアフリカの砂漠地帯等 D 高温・多湿(…例えば南米の熱帯雨林・ジャングル地帯等 環境や食生活や生活習慣などは世界中で千差万別だから、 それにウイルスも無数に色々あるから、なんとも言えない、という感じなんでしょうか?? たぶんそうですね。。。人間側の状態がポイントですからね。 以前にテレビか何かで、インドにはインドの病気(風邪?)があって、 日本の薬(風邪薬?)は効かないよ、みたいなことを聞いたことがあったので。 地域によって発生する(しやすい)ウイルスがあって、 それに対応した薬や予防方法がその地域にはある、 みたいなことは何だかありそうな気がしてきました・・・。 でもウィキペディアを参考にしたのですが、例えば精液・血液・母子感染する HIVウイルスなんかは環境にはあまり関係ないですよね(?)。 エボラウイルスなんかは血液一滴に100万単位のウイルスもあるのですね。 唾液の飛沫なんかからも感染するみたいだし、感染力強いんですね、恐ろしい…。 やっぱりウイルスもそれぞれあるのですね。 疑問が疑問を呼び起こしてしまいました。 しかし何か大きい話になりそうなので、何とか自分で勉強してみたいと思います。 根本的に、ウイルスについての知識がない、ということが今回よく分かりました。 もし軽めの参考図書やお勧めの書籍等ありましたら、ご紹介下さい。 因みに、文系で理系の知識がほとんどないもので、好奇心から質問してみました。 ありがとうございました。