ニューヨークから失礼します。まずご自分でどのようなスーツが好きでどのようなスーツを欲しいと考えているのか、口頭または文章でどの程度表現が出来ますか。そもそもオーダーメードという言葉はジャパニーズイングリッシュなのであって、英国や米国で現地の人に言っても、よほど日本人のことを理解している人でなければ理解してもらえない言葉なのです。そしてあえて言うならば、made to orderと言えばある
程度理解をしてもらえるとは思いますが、この場合注文する側がプロ
並の知識を持っているという前提と想定がされます。orderという単語には、やや強い調子の”命令”という意味があるのです。つまり注文する側が、作り手に対し、ああしろこうしろと指示して作らせるというニュアンスがmade to order, もしくはでたらめ英語においてはオーダーメード(またはオーダーという言葉)に含まれているのです。
単にお客の希望の通りに作るということであればcustomがもっとも
一般的で現地で伝わる言葉なのです。
もう一度言いますが、ある程度自分の好みを整理し頭の中でビジュアライズ出来ること。そして作り手に口頭または文章でそうした希望を伝えられること。つまりオーダーではなく、正確には”リクエスト”ということでしょう。 これが出来ないといつまでたっても”待ち”の注文つまり”出来上がってこなければ良し悪しがわからない”、の繰り返しです。
はっきり言って、消費者という言わば素人にものの良し悪しの判断など出来るわけがありません。ものの良し悪し、つまり素材や縫製の
クオリティについては納得のいくまでお店の担当者に質問しなければなりません。いったい何がどう良いのか、です。納得出来ない説明しか
出来ないようであればそんな店は即立ち去りましょう。そしてあなたが出来上がってきたスーツについて判断すべきことは、そのスーツを自分が好きかなのか嫌いなのか、それだけです。好きでも嫌いでも、その度にそれがどうしてなのか、自分なりに一生懸命考えてみることです。
それを繰り返していくうちに自分の好みも固まってくるものです。
どうも今回は安いからと理由だけで注文されたようですが、次回は
出来上がりのサンプルなど、自分の好みに合いそうなものかどうか、またサイズのサンプルなどがあれば、時間をかけて試着をしてみて、
よくよく判断をしてから決めるようにしましょう。
良いスーツの条件のひとつはthousands of detailと言われます。要するに果てのない向上心が必要、と言うことです。値段の安さを売り物にしているところは必ずどこかでコストダウン、つまり手抜きをしているということです。
良いスーツが欲しいのであれば、それなりにリーズナブルな範囲での
出費は覚悟しなければなれません。
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