関節は、関節包と言う一種の骨膜に包まれています。そしてこの骨膜からは関節液が出ていて、関節内を満たし、これが潤滑液の役割を果たしています。
いわゆる「水が溜まる」と言われる症状は、この関節液が何らかの原因によって大量に発生し、関節内に異常に溜まった状態のことです。
ケースとして多いのは、変形性関節症などによる軟骨の異常です。例えば関節内でクッションの役割をしている軟骨がすり減ると、大腿骨と下腿骨(この場合は脛骨)の動きによる刺激が、痛みとして伝わってしまい、これが関節液の異常発生を促します。その結果、関節包が異常に膨れて更なる痛みを誘発するわけです。
本来これを治そうとするのなら、関節液の異常発生の原因を絶つしかないわけですが、手っ取り早く関節包の痛みを取る方法としては、取り敢えず増えすぎた関節液を抜く(代わりに痛み止めを入れたりします)というのは有効です。
よく「水を抜くとクセになる」ということが言われますが、これは正しくありません。「水を抜くから悪くなった」のではなく、「何らかの原因で膝が悪くなったから、水が溜まる、つまり水を抜かなければならないような状況になった」わけです。
その意味では「水が溜まった」という状況は、何らかの膝の異常のサインと言えるかもしれません。
水が異常に溜まる原因があるのですから、それを抜けばまたその分を補充するかたちで新たな水が溜まります。結果、以後何度も水を抜かなければならない状況になるわけです。
確かに水を抜かなければ、新たな水が溜まることもありませんが、それだと関節包が異常に膨れたことによる痛みは治まりません。溜まった水を抜き関節包の痛みを抑えながら、関節液の異常発生の原因を取り除いていくことが必要です。
「溜まったらすぐぬいた方がいいのか?または冷やした方がいいのか」と言うご質問ですが、以上のことより溜まった水は、少なくとも冷やしたことでなくなることはありません。炎症を抑え、それ以上水が溜まることを抑制すると言う意味では、冷やすことも効果がありますが。
水が溜まり、それにより痛みなどがあるのであれば、取り敢えず抜いた方がよいでしょうね。お大事に。
お礼
大変参考になりました。ありがとうございました。