私は「音響現場や音楽プロデュース、CD・DVD販売流通等に詳しい方」とは真反対の超ド素人です。それに普段聴いているのはロックですので、本来回答してはいけない範疇の人間だと思います。ただ超ド素人なりの感覚的な(めちゃイメージ・オンリーの)コメントをさせて頂きたく思います。大変申し訳ございません。
●ロックの場合
ロックのライブ・アルバムは、(全くの私見ですが)以下の3通りに分類できることができると思います。
(1)「ライブの熱気を素早く伝えたいとき」
文字通り、ライブの熱気が冷めやらぬときにリリースされるタイプです。それでもリリースまでに3ヵ月~半年程度は掛かっていると思います。知名度があまりない、特に売り出し中のアーティストが、こういうタイプのライブ・アルバムを出します。例えば来日公演が非常に好評だったときなど、この波に乗らない手はありませんから、「緊急リリース」として出されます。実際、(私の100%想像ですが)念のためライブ収録を行ったがお蔵入りになった例もかなりあると思います。その中で運が良い(実力があったとも言えます)バンドだけに、ライブ・アルバムをリリースできる特権が与えられるのではないでしょうか。
このタイプのライブ・アルバムには、リリースを急ぎ過ぎたのか、ミックスダウン等がいい加減で、音質的に問題視されるものも結構あります。しかし音をいじっていないので、臨場感が溢れるアルバムだと良い評価につながるケースもママあります。
(2)「パフォーマンスが良かったライブ演奏を記録(レコード)として残したいとき」
有力アーティストになって来ると、ライブ・アルバムのリリースにも余裕が感じられます。例えば、スタジオ・レコーディングで傑作アルバムを連発したアーティストが、まだライブ・アルバムを出していないという場合、「スタジオ版は凄かったのにライブ版にはガッカリした」なんてことには絶対ならないよう、できれば後世に残るようなライブ・アルバムを出そうとするはずです。そうなるとアルバム作りは、収録を何箇所でも行って素材を揃え、その吟味から始まりますので、必然的に時間が掛かると思います。長期間(例えば半年以上)のライブ・ツアーの集大成と位置付けでも同様と思います。従って、このタイプのライブ・アルバムは、リリースまで早くても半年は掛かると思います。
(3)「バンドやレーベルの都合からリリースするとき」
ここには、いくつかのタイプが属します。
(3-1) バンドが、既に解散か解散状態にある、レーベルを移籍した(元のレーベルがリリース)、メモリアル的要素がある/あったといった主にバンド以外の要因から出されるライブ・アルバムです。ベスト版的要素が加わるので、初心者も手を出しやすい反面、安易に作製されることも多く、ファンから無視される場合も多いように思います。しかし「The Beatles at the Hollywood Bowl」のように素晴らしいアルバムもあります。このアルバムは、生で4人揃ったところを見たことのない私にとって、しょっちゅうは聴かないものの貴重なアルバムでした。
(3-2) 最近のロック・バンドは、アルバム・リリース間隔が長く、特に有名アーティストではこの傾向が顕著です(2年以上は当たり前)。そこで、次のスタジオ・アルバムが出るまでの間に、ライブ・アルバムをリリースすることがあります。性格的には、(2)と重なっている部分と(3-1)に重なっている場合とがあるように思います。当然、どちらのタイプに近いかで出来も異なってきます。
●クラシックの場合
門外漢が何をコメントするのだ!とお叱りを受けそうですが、ロック側から見た推測をしたいと思います。
・リリースまでに時間が掛かるのは、クラシック・ライブ・アルバムが、上記のタイプ(2)に当てはまるからではないでしょうか。文字通り記録(レコード)を残すわけですから、何箇所かで収録し、素材を吟味するところから始まると思います。
・クラシックの演奏には膨大な蓄積があります。有名な作曲家の有名な曲だと、一体どれほどの録音があるか分からない状況なのではないでしょうか。そうした中に新たな1曲を加えても、(超ド素人ながらに)果たして売れるのだろうか?という素朴な疑問が湧いてきます。初心者はコンピレーションから入る方が多いでしょうし、中級程度の方も購入されるCDのうち、いわゆる名盤の占める割合が多いのではないでしょうか。かなりお詳しい方になると、(有名無名問わず)相当レベルの高い演奏しかご購入にはならないように想像します。名盤を聴くだけでも、「カザルス:バッハ・無伴奏チェロ組曲」「フルトヴェングラー/バイロイト祝祭劇場管弦楽団:ベートーヴェン・交響曲第9番」辺りから始めていたら、それだけで一生が終わりそうです。私のような者でさえそう考えるのですから、CD製作関係者が頭を悩ませてもおかしくないと思います。
・若い演奏家の方々も、自分達が演奏したCDを出せないという状況にあると聞きました(7kenさんと裏表の関係でしょうか)。そこで、ネット配信等、新しい試みも行われているそうです。
以上、全くお役に立たないコメントで申し訳ございませんでした。
● 本家wikipediaに代表的なライブ・アルバムが掲載されています。ここから、有名かつライブ・アルバムの多い「Dream Theater」「Iron Maiden」のデータを抽出しました。
○「Live album」
http://en.wikipedia.org/wiki/Live_album
○Dream Theater
「Live at the Marquee」
Released 1993 (月日未確認)
Recorded April 23, 1993 - The Marquee Club, London
「Once in a LIVEtime」
Released October 27, 1998
Recorded June 25, 1998 - Le Bataclan, Paris, France
「Live Scenes from New York」
Released September 11, 2001
Recorded August 30, 2000 - Roseland Ballroom, New York
「Live at Budokan」
Released October 5, 2004
Recorded April 26, 2004 - Budokan Hall, Tokyo, Japan
「Score」
Released August 29, 2006
Recorded April 1, 2006 - Radio City Music Hall, New York City, New York
○Iron Maiden
「Live After Death」
Released October 14, 1985
Recorded October 8, 9, 10 and 12 1984, and March 14-17, 1985
「A Real Live Dead One」
Released September 22, 1998
Recorded 1992-93
「Live at Donington」
Released 8 November 1993 (U.K.), October 1998 (U.S.)
Recorded 22 August 1992
「Rock in Rio」
Released March 25, 2002
Recorded January 19, 2001
「Death on the Road」
Released 30 August 2005
Recorded 24 November 2003 - Westfallenhalle Arena, Dortmund, Germany
○The Beatles
「The Beatles at the Hollywood Bowl」
Released May 4, 1977 (US), May 6, 1977 (UK)
Recorded August 23, 1964, August 30, 1965 - Hollywood Bowl
http://en.wikipedia.org/wiki/The_Beatles_at_the_Hollywood_Bowl
お礼
回答ありがとうございます。 しかしながら同じ曲を他の演奏家が同時期に発表うんぬんの件は、それは(ライブ収録を除けば)収録以前にわかることであり、収録後の発売までに時間がかかる理由としては考えにくいように思います。 評論家の解説も、ひどいものになると演奏をまったく聞かずに書いているものも結構あるという話を聞いたことがあります。 また最後の「需要と供給の関係」というのはどういう意味でしょうか?需要が多ければ発売も早くなる?需要が多いので発売を早めたという話は聞いたことがありませんし、需要が多いかどうかは、発売して販売実績を見て、はじめてわかることなのではないでしょうか?