私は獣医師なのでヒトの方は専門外なのですが。
子宮は解剖学的な名称では、子宮体と子宮角に分かれています。子宮体はどんな動物でも1つで子宮角は2つあります。子宮角の先は卵管、そして卵巣に繋がっています。
で、動物によって子宮体が大きく子宮角はほとんどないに等しいものと(ヒトがそれにあたります)、子宮角が大きく形態的に明瞭に子宮が2本に分かれているように見えるものとがあります。No.3の方のご指摘にもあったとおり犬や豚などがそれにあたります。
それでヒトは子宮体で妊娠しますが、犬や豚などの双角子宮動物では子宮角で妊娠する、といった違いがあります。
ちなみに子宮角で妊娠する動物は多胎動物が主ですが、牛のように単胎動物でも子宮角で妊娠する動物もあります。牛の子宮は見た目は双角子宮なのですが、小さいながらも子宮体があって・・・なんて言う子宮だっけ?一応牛の繁殖が専門だったのですが失念してしまいました。お恥ずかしい限りです。
というわけで、ヒトの双角子宮は奇形ですね。
No.2の方が紹介されたリンク先の記事では、膣と子宮頸管も2つあったそうで、どんな形態なのかちょっと想像が難しいです。
牛もごく希に子宮頸管を2つ持った個体がいます。私は一度だけ遭遇したことがあります。でもヒトの例もそうですが、ちゃんと妊娠するんですね。
なので「ヒトには子宮は2つある」というのは解剖学的には厳密には間違いではないはずです。一応子宮角はヒトにも2つありますから。
でも、お友達が言ったのはそういう意味ではないでしょうけどね。
卵巣はどんな動物にも2つあります。
で、生理(繁殖周期)の話をしますと、
1.卵巣に卵胞が育ってくる
2.排卵する
3.卵子が卵管を経由して子宮角、子宮体に降りてくる
という流れの中で、子宮は排卵と同調して子宮体に「降りてきた受精卵が着床して妊娠が成立するための環境」を作ろうとします。それは排卵した卵胞の残りの細胞が「黄体」と呼ばれるものになって黄体ホルモン(プロジェステロン)を分泌する影響です。
が、受精卵(受精は卵管で行われます)が降りてこないと、せっかく子宮が用意していても妊娠しないわけで、ある期間が経過すると子宮も諦めて受精卵を着床させるために増殖させていた子宮内膜をベロベロと剥がしてしまうわけです。まあ黄体が退行してプロジェステロンの分泌が減少するからですけど。
その剥がれた子宮内膜が子宮口を経由して排泄されるのが「生理」というわけです。
ここまででお判りかと思いますが、妊娠が成立しているのに生理が来る、という現象はだから基本的にはありません。生理が来たと言うことは、子宮内は妊娠が成立するような環境ではなくなるわけですから。
お礼
詳しいご説明をありがとうございました。 勘違いとはいえ、自分の身体のことにも自信を持てないのに ヒトと動物の違いにとても興味深く読ませていただきました。 本当にありがとうございました。