太宰治「晩年」を17歳の時に読み、その中で主人公が周りの注目を
集めるために、わざと鉄棒から落ちるのですが、それをクラスで一番
馬鹿なやつが「今、わざと落ちただろ」と見抜く、という描写があるのですが、
そこを読んだとき、太田さんは、まるで自分の事を言われているような
気がして、ドキッとしたそうです。
そして、宮沢賢治の「人間の醜さ」を前面に押し出した小説を読んで、
太田さんが軽い鬱状態になっているとき、サリンジャーの「フラニーとゾーイ」
と出会います。この作品の中で、ある家族がラジオの収録に行くのですが、
ラジオなのに、おしゃれをしている自分の家族に主人公が「なんでわざわざ
見えもしないのにオシャレなんかするの?」と聞きます。
すると、家族は「このラジオをどこかで聴いているデブのおばさんの為に
オシャレしているんだよ」と言います。
要するに、人間は見た目ばかり気にする、醜い生き物だけど、それでも
いいじゃないか。というメッセージです。
これを読んだとき、太田さんは、鬱状態から救われます。
そして、太田さんの人生最高の小説、カート・ヴォネガットの「タイタンの妖女」
と出会います。この作品は、ある使命を背負った主人公が、土星かなにかに
行くのですが、その使命というのが、実にくだらない。
要するに、人間が生きるということに、そんな深い意味はない。だから、
気楽に生きようぜ、というメッセージだと太田さんは感じたらしいです。
ちなみに、爆笑問題の事務所も、「タイタン」と言うのですが、この小説の
タイトルから取ったそうです。
宮沢賢治「銀河鉄道の夜」に関してはあまり語っていませんでしたが、
太田さんが唯一、何度も読み返してしまう小説だそうです。
お礼
ありがとうございました!