熱帯魚の世界へようこそ!
初心者にお勧め≒きれいで丈夫、環境の変化に強い魚種で、できれば繁殖が可能なものを選びたいと解釈させていただいてよろしいでしょうか。
該当する魚種は先出の回答にあるとおりいくつもあります。
その中で、飼育環境から飼育しやすい魚種を選択していくのがよろしいかと考えます。
飼育環境とはすなわち、
(1)水槽の大きさ・濾過装置の種類(飼育魚種の大きさと飼育頭数の制限要因)、
(2)飼育水の性質を左右するもの(水道水の硬度・pH等、床砂利(砂)の種類等)
(3)魚の性質を考慮した飼育頭数規模とレイアウト(隠れ家等環境)の構築
です。
(1)は設置できる場所の条件と予算で絞り込むことになると思われます。例えば60cm水槽は幅60cm、奥行30~40cmあり、水を入れた総重量は57~62kgくらいになります。そのような水槽を設置できる場所を確認の上水槽の大きさを決定します。また、価格はデザインにより上下ありますが、60cm水槽は一番出回っているので他の大きさの水槽に比べ低価格です。他、45cm水槽や35、30cm水槽など小型水槽もありますが、水量が小さいほどそれに対する表面積の割合が大きくなり、温度管理が大変です。これからの季節はいいのですが、夏場は外気温が30℃を超す日がほとんどの地域ですと、水槽の温度も30℃を超しますので、魚にとってはもっともつらいでしょう。これは大型水槽でもそうなのですが、大型水槽ではまだ手を加えることができますが、小さい水槽は外気の影響を受けやすく日気温差に左右されるため、どちらかというと管理が細かくできる人向きです。60cm以上なら、入れられる魚種、数とも格段に増やせますし、手を入れやすくなります。
濾過装置は魚にとって有害な老廃物を浄化し、水の汚染を防ぐために重要です。60cm水槽では入門セットなどで底面濾過装置か、上面濾過装置がついてくるものもあります。魚種をたくさんにしたいのであれば、外部濾過装置をお勧めします。外部濾過装置は濾過能力が高く、水質を安定させるからです。ただし、水槽の大きさにあった大きさ(濾過能力)のものを選ぶ必要があります。大きすぎると水流が強くなり、魚が落ち着かない、水流が強くあたるところにこけ(藻)が生えやすいなどの悪影響があるからです。
最大飼育頭数は飼育水の容量(リットル)÷(成魚の体長)を大まかな目安にしてください。例えば60cm水槽なら57リットルと仮定して、全て体長4cmの魚を入れる場合最大14匹となります。
(2)は、水替などの管理を行う際、水替用水のpH・硬度が高いのに、弱酸性を好む魚を飼育していたらとても気を遣わねばならないでしょう。よって、逆に用水の性質から飼育する魚種を絞り込むのが、管理を楽にします。水道水なら、総硬度(カルシウムとマグネシウムの総量)は7未満、pHは汲みたてなら7未満の7付近、1日くみ置きなら7,1~7.3くらいだと思いますので、魚種を限定する要因にはならないと思いますが。なぜ汲みたてと汲み置きでpHが変わるのかは、溶け込んでる炭酸が汲み置くと抜けて、弱アルカリに傾くからです。魚を飼育していれば、魚が二酸化炭素を放出し、また糞から分解された硝酸など老廃物により水は弱酸性に傾く傾向にあります。
また、床砂利によっても、硬度やpHが左右されます。石灰質を含む砂利だと徐々に溶け、pHを弱アルカリの方向に持って行きます。ソイルという砂を焼成して固めたものだと弱酸性に傾けます。また、レイアウトに流木を使えば、流木に含まれるものが溶け出して弱酸性に傾け、石を設置すれば、石に含まれる石灰質が溶け出して弱アルカリに傾けます。
これらのことから、アルカリ性を好む魚種は水替えを頻繁にする必要が生じます。老廃物等による酸性水を取り除いてあげないといけないからです。また、床砂利は、色合いの好みもあるのでしょうが、できればpH、硬度を左右させない、石灰分を含まないセラミック系の土が、管理を楽にすると思います。逆にアルカリを好む魚種に限定して買いたいのであれば大磯砂など、酸性を好む魚のみであればソイルを使うのも手です。レイアウト材料も同様の理由から選べます。
(3)おとなしい魚は群れを作りたがります。群れで動くことで魚も落ち着き、また泳ぐ様がより美しく感じられます。一方混泳するといじめたりいじめられたりする魚種もあります。単独飼育しないと他の魚を食べてしまう魚種もあります。よって、いざこざを避けたいのであればおとなしく、争いをしない魚種を選択することとなります。また、臆病な魚はレイアウトとして隠れ家を提供してあげることで、落ち着きます(水草が混んで生えている場所などは産卵/稚魚の隠れ家にもなります)。ただし、隠れてばかりで全然泳ぐ姿を見せてくれないものもあります。好みにもよりますが、やはり元気に泳ぎ回る魚を見てこそ愛らしく感じられると思いますので、あまり隠れてばっかりいる性質のものよりは、泳ぎ回る魚を選択するというのもいいのではないでしょうか。同様の理由で夜行性の魚よりは昼行性の魚を選んだ方が見て楽しいという点でよいような気がします。
いづれにしても、飼育環境を含めて管理が楽で、環境変化に耐えられて丈夫な魚を選ぶことが、長生きさせるこつです。
いい熱帯魚図鑑には、飼育適温、水質、魚の性質等を細かく解説していますので、飼育したい魚種をある程度ピックアップしたら、飼育環境を整備して、1~2週間後にスタートフィッシュ(水槽に初めて入れる、死んでも仕方のない、けれども長生きしてくれそうな丈夫な魚)を1匹だけ入れて飼育し、2週間後、濾過細菌が十分繁殖し、水の性質が安定してから本当に飼育したい、飼育できる魚を予定数投入するようにするとよろしいかと思います。