法学部の知的財産法の授業で習う程度のことも説明できない専門家など、いるわけはないと思いますが、念のため。
まず、形態の如何を問わず、著作物を有形的に再製する行為は複製と定義されています:著作2条1項15号。CDをパソコンのHDDにリッピングする行為も、もちろん複製にあたります。複製権は著作者が専有する権利であり:同21条、著作者(または複製権の譲渡を受けた者)の許諾なしに複製することは権利の侵害にあたり、民法上の不法行為に該当するほか、刑事責任も追及されることがあります:同112条以下。
ただし、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(私的使用)を目的とするときは、技術的保護手段を回避しない限り、著作権者の許諾を得ず、自由に複製することができます:同30条1項。
ここにいう技術的保護手段とは、具体的にはVHSテープのコピーガードなどを指し、CCCDについては議論が分かれますが、学説の多くはこれにあたらないとするようです。尤も、判例がないため、実際のケースでどのように判断されるかは今のところ不明です。
また、MDやCD-Rなどデジタル方式で複製する場合には、著作権者に対して保証金を支払わなければなりませんが:同30条2項、これはメディアやオーディオ機器の商品価格に含まれており、販売店およびメーカーが代理徴収する形になっています。
以上の点から、
1.HDDに取り込んで個人で楽しむこと
=>全く問題ありません。
2.無償であっても第三者に渡すこと
=>判例によれば、特定・少数人への譲渡は「私的使用」の範囲に含まれるとされます。学説は、およそ10人程度と理解しています。したがって、少数であっても不特定の人に配布することは許されません。
3.家族に渡すと
=>全く問題ありません。