まず一番大事な事を確認しておく必要があります。帯状疱疹になられたお子さんは現在元気なお子さんでしょうか。発症原因よりも現在の状況が大事です。元気ならばまず安心して発症の原因について考えることにしましょう。
まず帯状疱疹のウイルスは水痘・帯状疱疹(varicella-zoster virus)と言われる物です。最初に口鼻などから感染するとウイルスが全身に広がって皮膚にみずぶくれを作る為に水痘(みずぼうそう)と言われるわけです。その後このウイルスはどうなるかと言うと皮膚にできた水ぶくれの中のウイルスは皮膚の神経を通って体の中の神経節という場所に長い間ひそんでいて、何らかの刺激や体の抵抗力が落ちた時にそのウイルスが盛り返してきてくるわけです。しかし、今度は神経との関係が強いので神経に沿って発疹が出るわけです。ヒトは右と左の神経が離れていますので、普通は片側にできて痛みを伴うわけです。
さて今回の6ヶ月のお子さんの場合は前回答者が言われているように通常ではあまりおきないことです。それは普通お母様に様々のウイルスに対する抗体があるからです。そのために生まれてすぐのお子さんは体にお母さんから貰った抗体があるためにいろいろな病気にかかりにくいのです。しかし、その抗体はただ貰っただけの抗体ですからだんだん減ってきます。同時に赤ちゃんは自分で抗体を作り始めるわけですがちょうど生後6ヶ月目あたりが自分の中の抗体が一番少ない時期になるわけです。したがってこの時期頃からウイルス性の感染を受けやすくなるわけです。
帯状疱疹は最初の感染ではまず絶対に起きる症状ではありませんから(最初でしたら「みずぼうそう」になるわけです)以前最初の感染を受けている必要性があるわけです。
それではどこで受けているのでしょうか。
(1)お母さんが今まで水疱瘡にかかったことが本当にあるのでしょうか。最近では水疱瘡にかかると登校禁止になるために水疱瘡にかからないで大人になってしまうヒトがいます。そのヒトが妊娠してから水疱瘡にかかると当然胎児にも感染するわけです。しかしこの場合はもっともお母さんの状態も、胎児の調子も心配になりますから今回の場合には該当しないと思います。
(2)妊娠中にお母さんが帯状疱疹にかかったのではないでしょうか?帯状疱疹は必ずしも痛みが強いわけではなく「かゆみ」程度であったり「チクチク」する程度のこともあり、発疹も少ししか出ないこともあり診断で苦労することもあるぐらいです。もし妊娠中に帯状疱疹にかかっても重症にはならず、胎児にかかる程度ですから問題はなかったと思います。
したがって、6か月のお子さんの帯状疱疹の発症機転は(2)が一番可能性が高いと思います。
補足
初めまして、suzuoさん。guzrerpapaの妻です。丁寧なご回答どうもありがとうございました。まず現時点では母子ともに元気です。その上でsuzuoさんのご回答について考えてみました。 まず(1)について。妊娠直後に行った抗体検査で、私が抗体を持っていないのは風疹だけだと医師から言われました。ですからそれ以外の子供時代にかかる病気は済ませたと考えてよいかと思います。 次に(2)について。実は妊娠6ヶ月頃、オリモノが増えたため菌を抑える目的で薬を挿入されたのですが、薬が合わなかったのか、胸から下腹部にかけて発疹が出てしまったのです。その後1ヶ月以上かゆみに悩まされましたが、飲み薬は避け、塗り薬のみで治癒しました。 今回の子供の発疹が妊娠中の私の発病と関係があるとしたら、心当たりはそれしか思いつきません。ただあれが帯状疱疹だったとは考えにくく、そうなると今回の子供の発疹が帯状疱疹なのか疑問です。 診察では目視のみで診断を下されたのですが、帯状疱疹かどうかは医師なら見ただけでわかるものなのでしょうか? 帯状疱疹ではなく何か他の水痘ウィルス性疾患だった場合、それにあった治療がなされないことで何か問題はないか心配なのですが。