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胆嚢ドレナージ後の食事|食事制限と回復について
- 胆嚢ドレナージ後の食事について5日前に胆嚢炎&胆石で入院し、経皮的胆嚢ドレナージを行いました。手術後の食事は野菜や照り焼きチキンなどのおかずもありましたが、漢方薬も摂取しました。しかし、トイレに間に合わず水様便で絶食になりました。
- ドレナージ後に食事がとれないことがあるのか疑問です。また、ドレナージ後から酸素をつけたままで過ごしており、熱も微熱ですが元気そうです。胆嚢全摘の手術も予定しており、早く回復したかったが状況は違うようで心配です。
- 本人は神経的なものも弱く、心配性で食事もとれなくなることを心配しています。何が原因で食事がとれないのかもわかりません。ドレナージをされた方や参考になる情報があれば教えていただきたいです。
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最後の文面「何でも参考になることがあれば・・」に胸打たれ、思わず回答のボタンを押しました。 私の意見が少しでも力になれるなら嬉しいです。 まず、経皮経肝胆嚢ドレナージ術(以下PTCD)というのは「根治療法」ではなく「姑息的治療」です。姑息=つまり一時しのぎの治療なわけです。言葉の印象が悪いですが、いい加減な治療をしているというわけではありませんよ。胆嚢炎の場合、あなたが書かれている通り最終的な治療目標(=根治療法)は手術です。しかし術中・術後の合併症発生のリスクを考えると、炎症の極期にこれを行うことはできません。そこでPTCDを施行することにより感染胆汁を速やかに排出し、炎症症状(発熱や疼痛等)を緩和し、また血液データを改善させた上で手術にもっていこうというのがこの治療の意義なわけです。そういう意味で、根治療法にもっていくための「一時しのぎ」であり、このチューブは近々抜去することを前提に挿入しているわけです。見た目が派手なので、ぱっと見はかなりの濃厚治療をしているように見えますけどね。 一口に胆嚢炎と言っても程度はさまざま。胆嚢炎になったからと言って誰もがお腹にチューブを入れられるわけではありませんよね。私の少ない経験から言っても、抗生剤の点滴をして脂肪制限食を食べて安静をとってもらうことで、治って笑顔で退院される方が大多数です。そういう意味ではあなた(のご家族?)はもともとの状態が少々重症であったということができるように思います。PTCDチューブが挿入されたということは、緊急に感染胆汁を体外に排出する必要があるほど炎症が強かったか、胆石が胆嚢の出口を塞いでいるために正常な胆汁の流れ道(胆嚢→胆管→腸→便に混じって排出)を通って体外に排泄される可能性が低かったか、そんな理由があったのだと思います。そういった重症の胆嚢炎に対しPTCDを行うと多くの場合劇的に症状や血液データが好転します。主治医の説明でも比較的早く回復するという話があったようですが、確かに比較的早く回復するという印象を、少なくとも医師達は持っています。恐らくあなたの主治医が使った「比較的」という言葉は、私が実際に自分の担当する患者さんに説明する時に用いる「比較的」と同じ意味合いなのだろうなと思います。要は、PTCDをした方が良いと思われる患者さんにこれを行わなかったことを考えると、その自然経過で予想される重篤さから比べてはるかに劇的な改善を得られるという印象を我々は持っているのです。確かに本当にチューブを入れたとたんスルスルと良くなって、数日でチューブが抜けるという方もおられますが、もともとの強い炎症のために改善が遅かったり、チューブが胆嚢の壁を押して胆汁が抜けにくかったり、時にはチューブを入れた場所に二次感染を起こしてそちらがこじれたり、皆が皆一筋縄でいくわけではありません。治療方針を疾患ごとにコンピュータに入力しておいて、「胆嚢炎」と入れれば治療の方法が出てきてそれで治るのなら医者が治療するよりコンピュータが治療した方がよっぽど正確でしょう。しかし一人として同じ人がいないから、医者は考え、患者さんに向き合うのです。そこに医師の存在価値があるのだと私は思っています。私はあなたの書かれた文面からしか判断することができませんが、排出胆汁もきれいになっているということですし、病床で普通に会話が出来るようになり(更に笑ったりできるのだとすればかなり疼痛も改善しているはずです)、微熱程度で経過しているのなら、そうは言ってもまだ入院してから一週間足らずですから、ひとまずPTCDについては「やって良かった」と言えるのではないでしょうか。PTCDという手技は誰もができる手技ではありません。非常にデリケートな技術を要求される特殊な手技です。PTCDをしたほうが良いと思っても、すぐに「PTCDするから用意して!」と言える医師はそれほど多くはありません。良い主治医にめぐり合うことが出来て本当に良かったですね。あなたが重症胆嚢炎の患者さんとして、このまま順調に経過すれば恐らく勝ち組に入れそうなのは、最初にその病院に飛び込んだことが最大の勝因かもしれません。逆に近くの開業医の先生がとっさの判断でその病院を紹介したのだとすれば、限られた医療設備の中で的確な判断を下したその開業医の見立ての良さは賞賛に価するものだと思います。 少々話がずれるかもしれませんが、折角良い医者にめぐり会えたのだから、是非その主治医とコミュニケーションを深めては如何でしょうか?私がいくらこのように長々と自分の考えを述べても、実際に診察していない私は、あなたの主治医にはどう転んでも太刀打ちすることができません。先ほども述べたように我々の診ている相手は一人として同じ人はいません。だから私はあなたの主治医以上にあなたのことを知り得ない。私の書いていることは一般論に少々自分自身の経験のエッセンスを加えた域を出ない。だからあなた自身の病状に対して「大丈夫です」とも「厳しいです」とも断言することは出来ません。その上で藁をもすがる気持ちで書かれたのであろう質問に胸打たれて回答を書きました。でも今度はその主治医の先生に、藁になってもらおうではありませんか。その先生を藁にできるかどうかはあなた自身にかかっています。私が気休めの言葉をいくら書いても、酸素マスクが取れなかったり、微熱とは言え熱が引かなければ不安でしょう?そんなの不安にかられるに決まってます。医者である私でも同じ立場に置かれたら「何で熱引かないのぉ~」って心細くなること請け合いです。自分の病状に対して不安になることは決して恥ずかしいことではないし、主治医の治療方針に背く事でもありません。その不安を押し殺して「先生にお任せします」と言ってしまったり、またはそう言わせてしまう雰囲気が病院の空気にあること(大きい病院ほど顕著ですね)、更にその不安を知らないために信頼されていると医者が思い込んでしまうこと、そんな関係は患者さんにも不利益ですし、医者にとっても不利益です。あなたの主治医はあなたの事を毎日考えて、その考えのもとにあなたに対して治療を行っています。ですからその考えのもととなる根拠を沢山持っているわけです。採血データの経過を追い、熱が下がらない理由も探っている(どこが熱源か?熱は細菌によるものかそれ以外か?細菌だったら何菌なのか?などなど)はずだし、酸素マスクも何らかの理由があって装着しているわけですから、その理由や現在の経過や状態を判断している根拠を是非聞いてみてください。医療不信の多くは「任せてたのに」裏切られた、という気持ちが根底にあって発生するのだと私は思っています。医者がお医者様であった時代は終わり、医者に命を預けるという時代は終わりました。あなたが主治医に対し、また主治医があなたに対して、病気というたった一つの敵に相対する戦友として同等の立場でコミュニケーションを取る事で、あなたの不安の多くが解消されると私はそう思っています。 話がそれましたね。胆嚢炎と食事制限について。そもそも胆嚢と言うのは、肝臓で作った胆汁を蓄え、濃縮するただの袋です(「いらない」と言っては言いすぎかもしれませんが、手術で摘出してもあまり大きな問題がない臓器です)。では胆汁というのは何か?胆汁は食事として摂取した脂肪分を包み込んで体に吸収させるための消化液です。消化液と言うからには食事の通り道、すなわち胃腸に流れ出ないと役に立ちませんね。そう。上でも少し述べたとおり、胆汁は胆管を通って腸に流れ出るように出来ています。胆汁は黄色い色をしているのですが、便が黄色く着色しているのは胆汁が健康に腸に流れ出ている証拠なのです。これを踏まえて胆嚢と食事の関係に戻りましょう。食事を摂取すると、胆嚢は胆汁を効率よく腸に分泌して食べ物を消化してやろうとして収縮を始めます。これが正に胆嚢炎の患者さんに食事制限や脂肪制限をする理由になります。胆嚢炎の状態で胆嚢が収縮すると痛いのです。また、胆石でせき止められるなどの理由で胆汁が効率よく腸に分泌されないと、脂肪の吸収が落ちます。つまり腸の中に脂肪分が吸収されないまま残るわけです。すると腸の壁にワックスを塗るが如く、便を肛門に向かって滑るように押し流していきます。このような理由で脂肪便=下痢便が生じるというメカニズムです。ですから、あなたが今困っている症状は案外一義的に説明することが出来ます。もう少し改善を待ってみても良いのではないでしょうか。 最後に胆石と手術について書いて解答を終わります。胆石がある人の殆どは「無痛性胆石」といって、胆石はあるが別に何ともない人です。ですから、胆石があるというだけでは手術の理由になりません。しかし、この胆石が理由と思われる胆嚢炎や胆管炎を起こしてしまった場合、私を含め殆どの医者は手術をお勧めすると思います。それは今後同様にして胆石による胆嚢炎を再発する可能性が高いからです。中には「またなったらなった時」と言って手術を拒否して退院される患者様もおられます。そのあたりはその胆嚢炎の程度、患者さんの手術に対する考え、予想される再発率などなど加味して相談の上決定しています。例えば胆管炎を起こした人で、炎症の治癒後も小さい胆石がコロコロ胆嚢内にあるようなら、(胆嚢の中でコロコロしている内は良くても)またそれが胆管に流れ出て細い胆管をつめてしまう可能性が高い。そういう患者さんに対しては、どうしても手術を勧める目に力が入ります。今回のあなたの胆嚢炎は少々程度が強かったようですので、やはり私が主治医でも、落ち着いたら最終的には手術までもっていきましょうとお話をすると思います。 以上、長くなりましたが、最後まで読んで頂いて有難うございました。もし、この書き込みで少しでも不安な気持ちに光をさすことが出来たとしたら、それ以上の喜びはありません。正に医者冥利に尽きるっちゅうやつです。この正月は残念ながら病院暮らしですね(ま、立場は違いますが私も病院暮らしなのですけど)。でも何年後かには笑って話せる良い思い出になることでしょう。その思い出話をする時には「そう言えばインターネットに書き込みしたら、だらだら回答書いたヒマな医者が居たねぇ~。どこのどんな人か知らないけど!」くらいには思い出して下さいね。 一日も早い退院の日が来ることをお祈りしております。
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- epigenetic_code
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胆嚢ドレナージでしたね、ごめんなさい。PTCDではなくPTGBDがその治療の略称です。
お礼
今後、手術を控えており、腹腔鏡下胆嚢摘出術を行っていない病院の為、開腹手術になると思うので不安な点もありますが、的確な説明と担当医のよい判断もあり、心配していたほど悪くなく経過もよいようなので一先ず安心できましたし、本人も不安から解消され微熱も下がり回復に向かっています。 ありがとうございました。
補足
丁寧な説明ありがとうございます。 かかりつけの医師は別にいましたが、病院が休みの時期でどこも閉まっていたことや空きベッドの関係により別の病院に緊急入院することとなりました。 入院時には医師がおらず(おそらくTELなどで医師に指示を仰いだと思われますが)看護師による応急処置として痛み止め&栄養の点滴のみでした。 翌日担当医となる先生に診ていただいたところ、書かれている症状どおり、炎症がひどく、胆石が入り口付近にあったため緊急でドレナージをしていただき、おそらく次の日の夜から食事をとってもよいだろうと言われその日を終えましたが、その後休日で担当医のいないまま、絶食や氷枕による寒さのための震え、手術後行われていなかった酸素など不安になりました。 休日の順番でやっと担当医が来て下さり、医師の指示で氷枕や酸素は必要ないと外され、水様便のために食事を中止する必要もないと食事も出ることとなりました。逆に水分を異常に取り過ぎているので、食事をしっかり食べるようにと言われました。 又、栄養不足で衰弱気味になっていたそうです。