「砂漠は生きている」1953.監督.ジェームズ・アルガー 女亀を争っての男亀同士の闘争、同じくカミキリムシの戦い、タランテュラの求愛ダンスとそれを見守るフクロウ等、砂漠に生きる生き物を描いてユーモラスなところもあるディズニー映画。
「愛の集会」1964.監督.ピエル・パオロ・パゾリーニ 性についてイタリアの人たちにインタビューしたドキュメンタリーである。性に対するとらえ方においても、パゾリーニは、イタリアの南北問題を見ている。
「アントニー・ガウディー」1984.監督.勅使河原宏 ナレーションはなく、説明の字幕も極力抑えて、「アメリアの遺言」と武満徹の音楽で静かに建築家ガウディーの世界を見せていく記録映画である。
「1000年刻みの日時計 牧野村物語」1987.監督.小川紳介 山形県上山市牧野村に伝わる民話をドラマとして再現しながら、稲の成長など自然の成り立ちをドキュメンタリーとして交錯させて描く。
「ハロルド・ロイド物語 命知らずの喜劇王」1989.監督. ロイドの生涯を、関係者の証言と本人の言葉、映画の名場面集から探って行く記録映画。娘グロリア・ロイド・ロバーツは語る。「父は人生を愛した人よ。200歳まで生きても、まだまだ興味あることを見つけた人だと思うわ。彼には学び、楽しむという欲望があったの。私は、それは人間の素晴らしい特質だと思うから、そんな父でよかったわ」1971年3月8日。享年77歳。200本近くの映画を製作したロイド〔チャプリン81本、キートン141本〕。今我々はその中のほんの僅かをビデオで観ることしかできない。
「サワダ SAWADA」1996.監督.五十嵐匠 ピュリッツァー賞カメラマン沢田教一についての様々な証言を中心に、その生涯をたどっている。事実の持つ重みが圧倒的な力作である。
「ファザーレス 父なき時代」1998.監督.茂野良弥 村石雅也〔22歳〕という日本映画学校の生徒と、その父母、義父、兄との葛藤が描かれる。事実の持つ重みがびしびし伝わってくる凄い映画だ。
「教えられなかった戦争・沖縄編―阿波根昌鴻・伊江島のたたかい」1998.監督.高岩仁 撮影時93歳だった平和運動家、阿波根昌鴻〔あはごん・しょうこう〕さんの、不条理な暴力に対して暴力によらない運動を描く。「犠牲・負担を感じてやっているのでは、平和運動を行う資格はない。自分自身が豊かでゆとりがなければ、人を幸せにすることなどできないからである」昌鴻さんの言葉は軽やかで重い。
「ワイルド・マン・ブルース」1998.監督.バーバラ・コップル ニューオーリンズ・ジャズ・バンドを率いてのウディ・アレンのヨーロッパ・ツアーの模様を描く。最後に出て来るのは、90代〔?〕のアレンの父母。やはりとぼけた老人たちで、母親の方は、「ニューヨーク・ストーリー」の「エディプス・コンプレックス」に登場するウディ・アレンの母親にそっくりなのが興味深い。
「続「住民が選択した町の福祉」 問題はこれからです」1999.監督.羽田澄子 秋田県鷹巣町の老人保護施設「ケアタウンたかのす」の98年4月から99年3月の一般公開に至るまでの道のりが描かれる。
「日本の近代土木を築いた人びと」2001.監督.田部純正 明治の人たちは20代から30代で、今まで日本にはなかった技術で近代日本を形作り、以後の飛躍的な発展に寄与した。それは、大江健三郎が言っている明治の日本人の使命感と言ってもよいもので、彼らの涙ぐましい努力によって、我々の豊かで安全な生活が成り立っていると言ってもいいほどだ。今の日本の利己的で荒廃した精神状況や物質にのみ頼った向上心のなさを考えると、この映画の投げかける意味の大きさに更に気づかされる。
「戦場のフォトグラファー ジェームズ・ナクトウェイの世界」2001.監督.クリスチャン・フレイ ナクトウェイの生き方は、凄いとか勇気がある・立派だということを超えて、神々しさを感じさせる。25年間の戦場での体験が、彼を孤高の人にしたという証言もあるが、孤独な印象はあっても、温かみや親しみを感じる風情を漂わせている。
「チョムスキー 9.11」2002.監督.ジャン・ユンカーマン 74歳になるアメリカの言語学者ノーム・チョムスキーの講演とインタビューをもとに構成されているドキュメンタリー。鋭く問題点を指摘しながらも、常に穏やかさを失わず、激越な調子にはならない。温かく豊かな人間性が顔や表情、たたずまいに溢れているチョムスキーの素晴らしい人間ドキュメント。
「曖昧な未来、黒沢清」2002.監督.藤井謙二郎 現在の日本映画で最も重要な監督・黒沢清の考え方を知る上で、とても貴重なフィルムだ。撮影中は民主的だが、編集作業に入ると独裁者だというプロデューサーの言葉は興味深い。
お礼
ありがとうございます。 「A」、「A2」は観たいと思っていたのですが、まだ未見です。 「アトミック・カフェ」ならぬ「アトミック・ボム」ですか、なかなかよさそうですね。 「コヤニスカッティ」は、なぜかサウンド・トラックを持っているのですが、音楽を聴く限り、かなり「前衛」っぽい感じですね。 昨年なくなったリーフェンシュタールの古典もまだ未見。観てみたいですね。