そもそもジンベエザメの生態はほとんど分かっていません。なので今回の事件?の原因が「飼育個体であったから」とは言えません。またジンベイザメが本来の生息域である外海から、淡水域の河口付近から遡上して来て河川に迷い込んでしまい、そのまま一両日中に死亡してしまう事例は毎年の様に発生しており。特に珍しい事例でもありません。
つ~か、ぶっちゃけて言うと、今回の河川淡水域に迷い込んで来た個体がたまたま過去に水族館で飼育されていた個体であり、また死亡日と放流日が近かったから勝手に因果関係を妄想してweb上で盛り上がっているだけですね。よくある「大地震の発生直前にリュウグウノツカイが~!」みたいなアレと同じで、専門家や好きで生物科学情報を日常的に追い掛けている人からすると、特に珍しいニュースでもないです(深海魚や大型魚、鯨類が川に入り込んだり海岸に乗り上げて死ぬのは毎日のように何処かで起きています)。
また "海くん" も卵から孵化させて大事に大事に水族館で生まれ育った訳でも無く。5年くらい前に普通に野生で生まれ育ってエサを探して泳ぎ回っていた所を、偶然に漁師の網の中に入ってしまったのを水族館で保護して、その後に生態研究用に飼育していたモノをお役御免で自然界へ放流したモノに過ぎません。
言うまでも無くジンベイザメは単なる軟骨魚類に過ぎず、よって大脳新皮質が発達していわゆる感情が萌芽している哺乳類ペットの犬猫などとは違い。飼育員に「慣れる」ことはあっても "懐く" ことはありません。なので今回の事件も「海くんは人間が恋しくて戻って来た!」とか「エサがもらえると思って入り込んで戻れなくなってしまったんだ!」的な言説は全て事実誤認の誤り、完全な動物愛誤的妄想に過ぎません(対象の擬人化)。
ていうか今回の "海くん" て8代目で、もう既に当該水族館で新しい研究個体として9代目が飼育中です。過去の7代目以前のジンベイザメも全て海へ返していますし、それらが放流直後に直ぐに戻ってきて死んだという事例も今回以外は特にないので。まあ普通に運が悪かったというしか無いですね。
P.S.
今回の "8代目海くん" も死体は水族館が引き取って解剖し、死因やその他の科学的調査が行われます。それでまたジンベイザメの研究と生態への理解が深まり、野生個体数の回復や保護活動のための基礎データが積み重なって行きます。
お礼