安倍官邸がNHKを〝土下座〟させた――だれが悪い?
7月11日発売の『フライデー』で、以下のような記事が掲載されました。
菅義偉官房長官が出演した『クローズアップ現代』(7月3日放送)において、国谷キャスターが集団的自衛権について「他国の戦争に巻きこまれるのではないか」「憲法の解釈を変えていいのか」と質問したことに対し、安倍官邸が「だれがこんな番組を作ったのか」と激怒し、NHKの籾井会長以下上層部が〝土下座〟して謝罪、国谷キャスターは泣いたというもの。
これに対し、菅長官は「事実とまったく違う」と反論しています。
この記事ですが、わたしは読んでいません。読みたいとは思ったのですが、立ち寄ったコンビニではいずれも売り切れていたもので。ただ、一応ネットで内容は確認できたつもりでいます。
この手の記事で問題になるのはその信憑性ですが、安倍政権のこれまでの行状から充分にありえると思う人から、証拠もないのに断定できないという人、「マスゴミ」の言うことなど信用できないという人までいます。もっとも、NHKが本当に全面降伏してしまったのなら証拠など出てこないでしょうけど。
そういえば、甘利経済産業大臣がテレビ東京と進めていた裁判はどうなったんですかね。あれも記者の証言しかない状態ですから、適当なところで手打をしてうやむやになるのでしょうか。おっと、これは本質問とは関係がありませんでした。
ところで、ネットの反応は大きく二つに分かれるようです。
番組の姿勢(国谷キャスターの質問)を当然視する人たちは記事も信用し、安倍官邸の「恫喝」とそれに簡単に屈したNHK上層部の対応を問題視しています。ついでに、番組に出演した菅長官の発言にも否定的です。
いっぽう、番組内容に批判的な人は国谷キャスターが「同じ質問をくり返す」「質問が幼稚」として、「反日」「売国谷」と書き連ねています。この人たちは安倍官邸の「恫喝」に対してもその事実性を疑うか、強く抗議してもまったく問題ないとしています。
ついでに、番組の最後がしりきれとんぼに終わっていることに悪意を読み取った人もいますが、これは同番組の悪癖の一つで、今回にかぎったことではありません。ただ、後味が悪いのはたしかですね。
ちなみに、同番組を視聴してのわたしの感想は、「菅の長広舌を聞かされてうんざり」「質問に対してなぜちゃんと答えないのか」「国谷の態度は腫物に触るようだ」です。政治家それも政府を代表する人だとこうなるのもわかるのですが、それにしても菅長官の発言からは、反対あるいは懐疑的な国民を説得しようという姿勢を感じませんでした。
まあ、それでも安倍さん本人よりよほどマシだとは思いましたけど。
この問題に対して反応が分かれるのは、そもそもなにが問題だと思うかが人によって違っているからでしょう。というわけで、皆さんはだれが一番悪いと思いますか?
(1)客観的な証拠もないのに記事を書き飛ばした『フライデー』。
(2)しょうもない番組を放送した『クローズアップ現代』のスタッフと国谷キャスター。
(3)番組内容が気に入らないからと「恫喝」した(らしい)安倍官邸。
(4)簡単に屈服した(とされる)NHK上層部。
(5)確定的なことが言えないのにこんな質問をかかげているわたし。