私は「プラトーン」は戦争映画の描き方を変えたエポックメーキングな作品だと思っています。それまでは戦争映画というのはコンバット的な戦場のヒーローを描くようなアクション映画が主流だったと思います。
それが「戦争のはらわた」で戦場の血なまぐささというのを表現する撮影方法が確立されて、「地獄の黙示録」で戦争を哲学的に描く(ドカーン、バコーンでかっこいいにはしない)という提示がされたと思います。
この二つの作品を融合させて「戦争が兵士の心をどれだけ傷つけるか」というのを徹底的にリアルに描こうとしたのが「プラトーン」であったと思います。なにしろそれ以前では「ランボー(1です)」があれでも「ベトナム戦争帰還兵のトラウマを描いた」といわれていたくらいなのですからね。
「プラトーン」以降に作られた戦争映画は全て多かれ少なかれ「プラトーン」の影響を受けていると思います。「プライベートライアン」は第二次大戦版プラトーンといっても過言ではないですし、韓国映画の「シルミド」は韓国版プラトーンといっていいでしょう。主人公のトラウマ(心の傷)を描いている点では「ハートロッカー」や「アメリカンスナイパー」も「プラトーン」の系譜の中にあると思います。
兵士をやたらと汗臭そうで泥まみれにしたのも「プラトーン」ですね。彼らの履いている靴は履き潰されて汚れています。靴があんなに汚い戦争映画は「プラトーン」が初めてだったと思いますよ。これは「ブラックホークダウン」が大きな影響を受けていると思いますね。
だから今から見ると、そんなにインパクトは感じないと思います。今の映画はどれもこれも多少なりとも「プラトーン」のテイストが入っているからです。どこかで見たことがあるようなものの連続なのは、ここがネタ元だからです。
蛇足:若き日のジョニー・デップが兵士の中に混じっていたのに気が付きましたか?
お礼
なるほど、評論家的ご説明ありがとうございました。ジョニー・デップ気づきました。といっても映画が終わって最後の俳優紹介で気づきました。映画中、可愛い俳優さんがいるなと思っていたのですが、まさかジョニー・デップだったとは思いませんでしたけど。