当該番組は私もちらっと見ました。
>(1)代表作だというこのゲーム、どんな点が魅力なんですか?
当時は,「ゲーム」ではなく「インタラクティブ・シネマ」だと(確か彼自身が)言っていました。実際,ゲーム性は,その当時の普通のアドベンチャー・ゲームとさして変わらなかったと思います。はっきりした違いは,3DCGの採用と,それを利用して,ゲーム内の世界への働きかけとその反応がリアルタイムに行われるようになったことでしょうか。これにより,従来のゲームに比べて没入感が高まるという効果があったのは確かだと思います。
このようなゲームとしては,既に米国では『Myst』のようなものが存在していたようですが,これとの違いは,Mystが常に一人称視点であったのに対し,『Dの食卓』では,通常のゲーム進行中は一人称で,画面中の何かに働きかけてムービーになると三人称視点になって主人公ローラのさまざまな「演技」が見られる,という辺りでしょうか。
ただ,これもあくまで「当時としては」の話で,今となってはこの作品で採用された手法はいずれもごく当たり前のものになっているので,今のゲームと較べると見劣りするのは否めないと思います。
>(2)彼はどんな特徴をもったクリエイターなんですか?
クリエイターとしては,アイディアとコンセプトを重視(というより偏重?)するタイプだと思います。また,コンセプト重視のタイプには多いのですが,大向こう受けを狙った発言や行動が多く,好き嫌いが分かれる(嫌われるほうが多い?)アクの強い人であることは間違いないでしょう。
実際,他の回答者の方は否定的な意見の方が多いようですし,私も人間として彼を好きかどうかというと「ちょっと..」という感じですが,彼の作品は嫌いではありません。(セールス的には全く振るわなかったのですが)音だけ(画面一切なし)の『風のリグレット』とか,セーブ回数が限られている『エネミー・ゼロ』とか,まあ絶対にやる人を選ぶゲームが多いのですが,実はストーリーはかなりオーソドックスで,根底に流れるテーマとして,世界/社会における個々の人の「孤独感」みたいなものを扱っていることが多いような気がします。
#「人間的にはどうか」と言われることが多い人ですが,
#上述『風のリグレット』では,
#出演者/協力者のfeeを売上に応じて支払う形にしていたため,
#セールスが振るわずちゃんとした額を支払えないことを非常に申し訳なく思っていた,
#というような話も聞いています。
#もちろん,伝聞ですので本当かどうかはわかりませんが。
個人的には,「天才」というよりは,「目端が利いて押しも強い才人」というイメージでしょうか。
#最近は何をやっているのかなぁ。
お礼
なるほど。とてもよく理解できました。コンセプト重視の路線ってきらいじゃないんで、やってみようかなあ。彼からも人柄は別として、ヴァイタリティーは感じたんで。ありがとうございました。