海外のことは存じませんが、日本の場合は、オペラで毎年のように主役を張り、リサイタルをやれば満員で、CDも出しているトップクラスの歌手であっても、そんなに収入が安定している訳ではなく、収入安定のために音楽大学等の先生になることを模索されていたりします。
オペラも昔は歌を聴かせるのが主体という意識から演技はおざなり、突っ立ってセリフ棒読みというのが多かったようですが、今は演出にも凝って、観客の目も肥えているので、演技もしっかりやることが求められ、それだけ一回の舞台にかける稽古量が増えて、拘束される期間も長くなっています。
それでいて、ひとつの演目の本番はせいぜい2回、ダブルキャストで4回公演で終わってしまうことが多いです。だから、一人の歌手が年にこなせるオペラはせいぜい2演目、競争も激しいので、コンスタントに年に一演目重要な役柄でオペラに出続けている歌手はかなりの売れっ子だと思います。
ご存知のようにオペラは電気的拡声なしの肉声でやります。今は声は消耗品といわれ、野球で肩は消耗品と言われて投手分業制が定着したように、オペラでも主要な役柄ではダブルキャストが当たり前になっています。中丸三千繪さんが年間160ステージと言われたというのは、常打ちでオペラをやる劇場の箱としての年間公演数のことではないでしょうか。端役や合唱メンバーならともかく、主要な役柄でそんなに出ずっぱりでは一年持たずに声が潰れてしまいます。
だから、中丸さんが仮に一演目2000万円のギャラを取っておられるのだとしても、年にせいぜい二演目ぐらいしか出られないものだと考えると年収4000万円で、世界のトップレベルの方であることを考えると、オペラ歌手の収入は他の分野の世界トップレベルと比べてさほど高額ではないといえます。現にこの方も大学の先生をされているようですし。
日本のオペラ歌手の場合、常打ちのオペラ専門劇場もない現状、そんなにオペラ公演で歌うチャンスは多くない、一回の演目での拘束時間も長い、ギャラもそんなに高額ではないということで、冒頭に申し上げたような現状があります。
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