「リニア (Linear)」「ノンリニア (Non-Linear)」「ポスプロ (Post Production)」という言葉を聞いたことはありませんか?
業界用語ですが、Linear とは Real Time 処理、Non-LInear とは時間を空けて処理を行うことです。
CD Player は Data を読み取った端から Analog 変換して音を出す Linear 処理の機器であり、生放送とか生中継は Linear 放送と言えます。
MTR (Multi Track Recorder) では Track ごとに録音して音を重ねることができますので、全ての楽器を同時に演奏して録音する Linear 処理を行う必要がなく、後から何回でも重ね合わせを調整できる Non-Linear 処理が可能な機器です。
このような「事後に (Post) 制作 (Production) する」処理のことをポスプロ (Post Production) と呼びます・・・Post (事後) の反対は Pre (事前)。
Analog 機器は全て Linear 処理機器ですが、Digital 機器は厳密に言えば Linear 処理機器ではありません。
Digital 演算にはそれなりの演算時間がかかりますので、複雑な演算を繰り返して行う機器では入力から出力までの間に時間を要してしまい、Analog 機器だけを介してきた音源と上手く重ね合わせることができなくなる場合があります。
この遅延時間を Latency と言うのですが、CD の再生は Latency が数十分の一秒以下である数十 msec 以下になっていることから、通常、CD Player に Latency 問題が生じることはありません。
しかし MTR を用いたポスプロ作業では Latency が大きな問題となりますので、高額の Digital Audio Interface 機器では必ず Latency が Catalogue に表記されている筈です。
さて、MTR の光 Digital 出力を CD Player の光 Digital 入力に入れて Analog 変換した場合を考えてみましょう。
CD Player は厳密に言えば Linear 処理機器ではないとは言え、CD の Data を倍速等で読み出して何処かに Buffer した後に時間軸を揃えて処理を行うといった PC のような機構を備えているわけではありませんので、Digital 処理 IC Chip の許容範囲内 (通常、数 msec 以下) での時間軸補正しかできない、殆んど Linear 処理に近い Digital 機器です。・・・つまり CD から読み取った Digital Data を右から左に Non Stop で処理することしかできません。
一方 MTR は Non Linear Digital 処理機器であって、多少の時間軸のずれが生じても Buffer Memory に貯めこんで整然と送り出す機構を有していますので、通常は「Latency が生じて当たり前」の機器です。
この「Latency が生じて当たり前の Non-Linear Digital 処理機器」から「電気信号を光信号に変換演算する回路を経て」光 Digital 信号にしたものを CD Player の光 Digital 入力に送り込むことになるのですが、CD Player は僅かな時間軸のずれが生じてもこれを Buffer して整理整頓する機構を持たない機器ですので、あちこちで生じた Latency に対処することができません。
その結果、CD Player はポロポロと Data をこぼして音飛びを起こすわけです。
>もし、デジタル配線に問題があるならば、・・・
配線と言うよりも Digital Data の伝達経路上にどれほどの変換処理機構を含むか、それによってどれほどの変換 Error や時間軸のずれが生じるかが問題となります。
時間軸のずれは「Master Clock Generator の偏差等に伴う不規則な前後揺動」のことを Zitter と呼びますが、演算に伴う遅延が蓄積されるものは Latency と呼びます。
光接続は「電気信号を光信号に変換して送り出されたものを再び光信号から電気信号に変換し直してから Analog 変換等の処理に入る」という複雑な経路を介することから Zitter や Latency を起こし易いもので、もともと大きな Latency を起こす MTR から光接続して、そのような使用法を考慮していない CD Player に送り込んでしまっては、CD Player の処理能力を超える時間軸のずれによって音飛び等が生じることになるわけですね(汗)。
CD Player 以外の DAC (Digital Analog Converter) でも同様のことが言えるのですが、可能であれば光接続は避けて変換演算処理が Simple で済む電気信号端子 (Coaxial 端子や AES/EBU 端子) で接続された方が良いかと思いますよ(^_^)/。
ちなみに Analog 接続であれば Zitter も Latency も生じないのですが、回路を重ねると今度は Noise や歪が増えるという Analog 特有の問題が生じます(汗)。
・・・難しかったかな(滝汗)?
お礼
わかりました。回答有難うございます。