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原始棒銀(VS3四歩型居飛車)のコツ Part2
- 原始棒銀(VS3四歩型居飛車)での対戦で負けてしまった場合、何がいけなかったのかを探る。
- 76手の対局で後手が勝利した。
- 着手の意図や展開について解説し、変化手についても考察する。
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39手目の▲3二とが敗着です。局面によっては成立する手筋なのですが、本局に限っては気前が良すぎました。銀損の代償に作ったと金ですから、もっと大きく育てなければならなかったのです。竜を作っても追われて自陣に引き下がるようでは攻めが続きませんし、桂を貰ってもどこにも使い道がありません。それに対し後手の持ち駒の銀はどうにでも使えます。桂銀交換の駒損のうえに、後手の飛車角がおおいばりで先手の角も使えていないので、ここから先は検討する意味がありません。後手陣がまだしっかりしているので2筋を破ったようで破っていなかったということなのです。 39手目は▲4六歩の一手です。一つは次に▲4五歩で角を殺す意味です。原始棒銀が角道を空けないのは角を使いたくないから、ではなく後手の角をいじめたいからです。だから、常に後手角をいじめる筋をねらわなければなりません。この局面では5四の飛車が邪魔で後手は▽5四歩と角の退路を開くことができない。また▲5六歩が待ち構えているので▽5五角とはできない。2二と3三はと金が待ち構えています。 二つ目の意味は▽4五銀を防ぐことです。▽4五銀とされると先手は次の▽5六銀の突進を防ぐことができません。▲5六歩▲5七銀は先手陣の要といってもよい重要な橋頭堡であって、これを失っては歩損以上の損になってしまうのです。 三つ目の意味は▽6五銀には▲4七金の応援でシャットアウトすることです。3八の金を働かせるために4七の空間をつくるという意味なのです。 以上、▲4六歩には3つの意味があります。将棋の着手は、このように2つも3つも意味がある手が好手になります。▲4六歩は自分が前に指した手を活かす手であり、後手が指した手を咎める手なのです。 後手の持ち銀を働かせてはいけません。▲4六歩の一手で▽4五銀と▽6五銀の2つの使い方を消すことになります。 ▲4六歩とされたら後手はどうしましょうか。このまま角が歩で殺されてはたまらない。▽3四銀と受けたなら、今度は▲2四とと引き付けて銀が助かりません。このと金はそうやって有効活用しなければいけなかったのです。となると後手が角を助けるためには▽3六銀か▽3六歩か2つしかありません。▽3六銀には▲3七歩と催促します。▽2七歩▲同金▽同銀成▲同飛は一本道ですが、相変わらず▲4五歩で角を殺す筋が残っていて後手はお手上げです。最後の手段は▽3六歩です。▲4五歩は▽3五角と交されて面白くない。▲4五歩でできた空間に▽4六銀と打たれる手が嫌味です。歩は前にしか利きませんから裏を取られる展開にしては失敗なのです。ではどうするか。▽3六歩には▲2四とが好手です。今度はと金を使って▲3四とで角を殺そうというのです。後手はまた困ります。▽3七歩成▲同金▽3三歩と受けても、一時しのぎで▲2二歩で後手は指しようがなくなります。▽3三銀とぶつけて、せめて銀で勘弁してくれと来るかも知れません。ここで儲かったと▲同とではつまらない。ここは▲2五ととさらにひきつけます。この後2六、3六と先手はと金を動かしているだけで勝てます。と金は足が遅い駒ですが、それでも相手にそれ以上早い手がない場合は、十分間に合うのです。これを「と金の遅早」といいます。と金のスピードが間に合うかどうかの判断が必要なのです。▽3三銀も駄目では後は▽3五角とか▽2六歩とかやけくそみたいな手しか有りませんが、これも▲2五とで後手はお手上げです。 実は▲4六歩には、まだ2つの意味が隠されていたのです。四つ目の意味は▽3三桂から▽4五桂の活用を防ぐこと。五つ目の意味は▽3五角の時に▽5七角成を防ぐことです。 以上の通りです。▲4六歩の絶大な効果と、2三のと金の使い方をご理解いただけたでしょうか。将棋は決して駒の損得を競うゲームではありません。自分が前に指した手を活かす。相手が前に指した手をとがめる。自分の駒を働かせる。相手の駒を遊ばせる。そういうゲームです。 ▲3二とは桂を取りながら飛車を成りこませるという意味がある手なのですが、▲2一飛成となりこんだものの▽3一金としかりつけられて引くしかなかった。それは▲3二とが▽4一金、▽4二銀、▽2一桂、▽4四角、▽1一香の全ての駒を働かせてしまったからです。それが▲3二とが悪手の理由です。 39手目の局面は手が広い局面です。▲3二と、▲2二と、▲2二歩、▲1二と、▲3四歩、▲3三歩、▲2四とのどれも有力そうだし、どれも攻めが続きそうにも思えます。しかし、どれも最善手ではありません。 ここはじっと▲4六歩が最善手です。その理由は既に説明したとおりです。 私が説明したような手の意味を考えながら指し進める習慣をつけてください。そうして実戦経験を積めば、0.5秒で▲4六歩を発見できたでしょう。本局のポイントは39手目で、この局面が全てです。 では健闘を祈ります。
お礼
39手目▲4六歩は考えもしませんでした。 3段目まで進出した後でも、常に角を狙わなくてはならなかったのですね。 この一手に4つも5つも意味があるとは驚きです。 出来るだけ一手一手の意味を考えながら指してみます。 回答ありがとうございました。