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飛行機のタンク水抜きとは?
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110325-OYT1T01083.htm スターフライヤー機がタンクの水抜きをしてなかった…という記事です。 飛行機のタンクの水抜きをしない、というのは具体的に何が問題なのですか? どの程度のミスなのでしょうか? そのうちスターフライヤーに乗りたいと思っていたので、詳しく知りたいです。 飛行機に詳しい方、よろしくお願いします。
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No.3です。ある事情で管理者の介入による回答削除が行われましたので、必要と思われる部分 について補完をしておきたいと思います。 今回の件は特定航空会社の特定機種のことを取り上げておりますので、危険の可能性の度合い が高いと主張するためには技術的・科学的根拠を示す必要があると思います。そうでない場合は 単なる企業への誹謗中傷に終わりますし、誤った情報を流布するという点でも、その社会的責任 が生じます。 前回の回答で、私はトラブルを起こす危険性はまず無いと申し上げました。改めてその根拠を 示します。一つは、もとから発生する水の量が少ないことです。この水は温度変化による水蒸気 の凝結で発生したものですが、タンク内の空気の流れを考えます。地上で給油されれば、タンク 内の空気は追い出されて少なくなります。飛行を始めれば減った燃料の分の空気が入って来ます が、この際もっとも長く居るのは温度がマイナス数十度の巡航高度であり、これは極めて空気中の 水分量の少ない状態です。着陸すれば周辺温度が上がりますが、「タンクとタンク内燃料の方が 冷たい」状態なので結露はタンクの「外側」に生じます。夏場などは着陸直後の主翼下面にこの 結露を見ることが出来ます。この地上と上空の温度の関係は通年で逆転することはありません。 タンク内の空気が冷やされていくのは離陸した地上から上空にかけてになりますが、この時は普通 燃料で満たされて空気が少ない状態です。つまり水の発生原因である空気中の水分の絶対量が もともと多くはないのです。 もう一つは、この水に対する大型ジェット旅客機燃料システムの能力と機能です。タンクから吸い上 げるブーストポンプとその配管の輸送能力、エンジン側の燃料消費率から比較して発生する水は 言ってしまえば微々たるものです。 それと前回も書きましたが、タンク底の水を強制的に燃料内に混ぜて吸い上げる方法がとられて いますので継続的に溜まってもいきません。「水」として独立して大量に存在しているならば別で すが、C.C.単位で計測するような量の水に対して、比較にならない大量の燃料が処理されています ので問題が起きることはまず無いのです。水分混じりの燃料が来ても、燃料フィルターや狭い流路を 持つFCU(燃料制御装置)等で凍結させないための燃料ヒーター(通常はオイルとの熱交換による) を通しますので支障が起こらないようになっています。つまり水の事は織り込み済みなのです。 今回の問題で国土交通省航空局が下した処分は「厳重注意」と「再発防止策検討指示」でした。 http://www.mlit.go.jp/report/press/cab11_hh_000027.html つまり処罰も受けていないのです。もし本当に乗客の生命を危険にさらす程の重大問題を5年間 放置したと判断されているのであれば、これで済む筈がないと思いませんか。この点で今回の件 に関する日本の航空局と私の見解は一致しているものと思います。すなわち、所轄監督官庁にも 耐空性(安全に飛行できる状態かどうかということ)を損なうような事態とは認識されていないという のが実際のところなのです。
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- santana-3
- ベストアンサー率27% (3891/13901)
>毎日実施するとしている燃料タンクの水抜き作業を、就航当初の2006年3月頃からほとんど行わず 本来なら毎日行う作業を5年間行っていないと言う事になるなら、その弊害は想像できない。
- funflier
- ベストアンサー率80% (375/467)
結論から言うと、毎日運航されている飛行機で「水抜き」をしないために起こるトラブルはまず 起きません。何故なら「それほど溜まらない」からです。 「水抜き」とは何かから言えば、タンク(旅客機では主翼構造そのものがタンクで、機種によって は胴体内にもある)の中で温度変化があると空気中の水分はタンク壁面に結露します。 この水滴が灯油に近い(灯油に添加剤を加えたようなもの)ジェット燃料に混ざると、水の方が 比重が重いので下に沈みます。これは自動車のガソリンタンクでも起きている現象で、自動車 の場合は親水性のアルコール類を入れてガソリンと混じりやすくして抜くための「水抜き剤」が 市販されていることもご存知でしょう。水の発生理由はこれです。尚、燃料内には水分は ほとんどありません。これは水分が規定値以下の燃料でなければ給油しないからです。 燃料会社と航空会社が双方で運航前に検知器を使って確認する規則になっています。 飛行機の場合は、一日の運航を終えた夜、タンクの水がタンク最下方に集まった頃にタンク の「SUMP DRAIN」と呼ばれるバルブから抜き取りをします。これは普通主翼には上反角が あるので翼根付近とその外側に数箇所あります。これが「水抜き」です。 水が混じる問題はこの「水」が凍結することと、長時間水が溜まっていると、アルミ合金に腐蝕 が生ずることです。この腐蝕は、「燃料が好き」だという変わったバクテリアがいて、水と燃料の 境界面に繁殖して酸を出すために起こります。他に燃料が水で希釈されるほどの大量ならば 燃料として組成が変ってしまうということではありますが、実際結露で生じる水はそれほど多く ありません。 この水を溜めないためにタンク内では燃料ポンプの吐出圧を利用して、タンク最下部の燃料 をある程度かき回して少しずつ混ぜ込んでからエンジンに送っています。従ってタンク内に 結露して生じた水は常時排出されていますので、長期に渡って停め置かれた飛行機でもなけ ればほとんど溜まらないのです。 実際溜まらないからといって、今回も溜まってる筈があるまい、と規定にある項目を実施しない というのは明らかにサボタージュであり問題です。しかし「可能性として」といいつつ想像のまま 随分過激に起こる問題を想定している方もおられるようですが、現実的にはタンクの水による 問題はそうは起きません。
お礼
貴重なご意見をありがとうございます。 丁寧で詳しく説明してくださり、回答者様の見識の深さに頭が下がります。 特に、水抜きについての説明が素人にとってもわかりやすく、興味深く拝見しました。 バクテリアの件などとても驚きました。 NO2の回答者様ともまた違ったお話を別の視点からお聞かせいただき、どちらも大変参考になりました。 これから飛行機に興味を持っていこうと思います。 ありがとうございました。
- mazeran
- ベストアンサー率42% (221/518)
本来燃料が通るべき回路に、「水」が通ることで起きるトラブルはたくさんあります。 燃料が通らず水が通るので、エンジンが停止するか回転が不安定になります。 本来の「安全な運行」ができなくなります。 残留する水の量にもよりますが、エンジンの不調は免れないです。 停止もあり得ます。 水が完全に抜けてしまえばあとは燃料が通常通りにエンジンへ行くからいいのでは?と思う方もおられますが、タンクからエンジンの燃焼室までの間、いろいろな機器を通ります。 たとえばポンプであったり、計器であったり。 それらは当然、「燃料」の性質を熟知した上で設計・製作されていますので、水が通ることで「故障」する可能性もあります。最悪の場合、機能の破壊が起こることもあります。 ご存知のように、水と油は比重などの違いから混ざることはなく、同じ容器にいれても分離します。 一般的に、上に油、下に水となります。 たとえば燃料の流量計や圧力計などは、計器の機種によっては直接燃料に触れて計測しているものもあり、そのような計器に水が入り運悪く大切なところに留まってしまうようになると、正確な測定ができなくなり、パイロットやコンピュータが誤った判断をし兼ねません。 メーカーや機種にもよりますが、そのような情報はコンピュータにより、別の機能と連動している場合もありますので、事態は緊急と判断され兼ねません。 ポンプ(燃料ポンプ)も機種によっては、ポンプ内が水で満たされることで正常な運転範囲を逸脱してしまい、正常にエンジンへ燃料を送ることができなくなる可能性もあります。 運悪く、正常な運転範囲を逸脱してしまった時にポンプの部品の一部が破損してしまうと、取り返しのつかない結果になり兼ねません。 本来、水は「水の回路」、油は「油の回路」、空気は「空気の回路」を通ることで機器は正常に安全に機能するように作られています。 ある程度の混同は異物として除去するように作られていますが、限度を超えると危険な状態になります。 『万一大量に混同しても・・・』と言う考えで世の中の物は作られていません。 装置が過大になり重量が増し、経済性が悪くなり経営できなくなるからです。 規定通りの整備をしておけば、統計的に起こり難い事象に対してはほとんど何もしていません。 『安全性』と『経済性』を常に天秤にかけているわけです。 どんな業界でもほぼ同じですが、航空業界も例外ではありません。 たかが水抜きの怠慢ですが、運が悪ければ地上にいる人々を巻き込むような事故になる可能性は高いです。 異物(今回は水)が断続的に流れることによる『経年変化』も進んでしまいます。 設計通りに燃料だけが通っていれば問題ないですが、水が通ることで配管などの劣化が激しく進んでしまい、定期的なメンテナンスや部品交換前に、運悪く飛行中に燃料パイプが破損し引火して・・・ なども可能性としてはかなり高くなります。 今回書いた内容は、文中にも書いていますが、あくまで『可能性があるとか高くなる』であり、必ずそうなると言うものではありません。過剰に反応しないでいただきたい。 タンクの中には必ず水は入るものとして考えられていますので、ある程度の対策は講じてあると思います。 しかしルール違反には間違いないです。 整備データの捏造です。 飛行中のサービスは無くしてもいいから、『安全』だけは過剰に提供して欲しいものですね。
お礼
ご丁寧な回答をくださりありがとうございます。 機器への水の問題もとてもわかりやすく、納得いたしました。 飛行機は好きなのですが内部に詳しいほうではなかったので、システムにも興味を持つきっかけになりました。 そして今回のことが、やはり人為的なトラブルが一番の問題であるということも理解できました。 ありがとうございました。
- santana-3
- ベストアンサー率27% (3891/13901)
ジェット燃料のケロシンは成分的に灯油や軽油と同じなのですが、大気中の水分を吸湿しやすく、タンク内で分離して水として溜まります。 これは、石油ストーブでも軽油の自動車でも同じ事が起こります。 石油ストーブでは水抜きに関する注意書きがあり、自動車は燃料フィルターで分離して定期的に排出する必要があります。 ジェット機も同様の事が必要なのでしょうが、その作業を怠ったと言う事は、エンジンに関して重大な不具合が生じる可能性が大きいと言っても過言では無いでしょう。
お礼
とてもわかりやすい回答ありがとうございます。 自動車の水抜きについては知っていましたが、(もちろん飛行機とはまた違う話として)参考になります。 ありがとうございます。
お礼
さらに詳しい補足までいただき、ありがとうございます。 国土交通省航空局が下した処分についてのお話は(ふだん、一般人にとってはそういう処分がどういう意味を持つのかわかりにくい言葉で書かれていることもあって)、補完のご回答として大変納得させていただきました。 問題についてのご意見も参考になりましたし、今後航空機関連のニュースを見たときに考える機会ができたと思います。 正直、とても参考になりいろいろと考えることになりましたので、どれをベストアンサーに選ばせていただいていたらいいのか悩んだのですが… スステムについてのお話が目を開くような内容であったのでfunflier様をベストアンサーに選ばせていただきました。 どの回答者様も大変ありがとうございました。