建築物の構造は生活スタイルに大きく影響を受けているようです。
農業社会が始まった頃の建築物は竪穴式住居で、家の中心に囲炉裏があり、暖房、調理、コミュニケーションは全て家の中心でおこなわれ、火を中心にした生活スタイルでしたし、それが文化や歴史にも影響を与えていました。
情報社会の現在は、家の中心はインターネットに繋がったパソコンに置き換わって来ています。生活スタイルも大きく変貌し、消費財は国境を超えて広域化して流通するようになり、身の回りにある物は外国製が大きな比重を占めるようになりました。
300年後と言えば、宇宙開発が進んだ未来ですから、消費財の流通も宇宙規模のものに変わっているだろうと思われます。月や火星で製造された電子部品が貨物宇宙船で地球に運ばれて、家電製品に使用されるなど、宇宙が無ければ生活が成り立たない社会になっているでしょう。
宇宙旅行も日常的におこなわれるほど低コスト化が進んでいる可能性もあります。飛行機に代わってロケット航空機が普及し、一日に何度も地球と宇宙を往復する生活をする人が珍しくないかもしれません。
宇宙観測技術が飛躍的に進んだ結果、銀河系の恒星、惑星、衛星に関しては詳細な情報が手に入るようになり、ほとんどの天体に関しては探査機を送らなくても、正確な情報を知る方法が見つかっている可能性もあります。銀河系の星々に関しては自宅の庭のように知り尽くされている時代かもしれません。
分子メモリーなどの高密度記憶装置が一般化し、大量の情報がリアルタイムで常に蓄積される社会が実現して、個人が一生の間におこなった生活行動に関する映像情報などの膨大な個人情報が小さなメモリーに保存出来るようになった結果、自分が過去に何をしていたかは覚えて置かなくてもコンピュータで詳細な情報が調べられる時代になっているかもしれません。
もしかしたら、自分自身の生体情報も完全に記憶保存出来るようになり、事故で死亡しても、過去の情報から生きている自分を復元出来るようになっている可能性もあります。
高性能なロボットが普及して、世の中が大きく変わり、何をするにもロボットを使わなければ生活が成り立たない社会になっている可能性もあります。
建築物は現在よりも大量のエネルギーを消費するものに変わり、コンピュータのように大量の放熱を必要とする構造のものになっているでしょう。エネルギー消費が桁違いに大きくなっているとすれば、地球上で生活するのは熱の問題から難しくなり、他の天体や宇宙空間に都市を建設して居住する例が増えていると考えられます。
情報革命で情報の大量保存が可能になった結果、価値観が大きく変化したように、人間や家畜の保存や復元が可能な時代になれば、従来の価値観も大きく変化するだろうと思われます。
反物質やブラックホールがエネルギー源になっているとすれば、個人でも原発一基分のメガワット級のエネルギーを一生の間に消費するようになっているかもしれません。
もっとも、これは破滅的な戦争が起こらなかった場合の話で、人類を滅亡寸前に追い込むような戦争が起こっていれば、原始時代に逆戻りしたような悲惨な生活をしている可能性もあり得ます。現在でも核戦争や核兵器テロが現実問題になっている以上、反物質やブラックホールを使用した戦争やテロが起こらないとは誰にも言えません。
300年後は地球が砕け散っていて、存在しない可能性もあり得ます。