1、デジタルレントゲンで放射線被曝してしまうから
デジタルに限らず、放射線は遺伝子を傷つける可能性があります。しかし法的な問題はともかく、直線的に進み、且つ医科で使用するレントゲンより桁違いに少量の歯科のレントゲンでは、直接子宮に向けて照射する事もほとんどなく、また口腔から体内を通って行く分には全くと言ってよいほど問題はありません。
予防的処置ですし、遮蔽用のエプロンをつければ無害です。
とはいえ、少ない事に越した事はありません。
2、麻酔をかけるから
麻酔には血管を収縮させる薬が入っています。通常の量では殆ど問題になりませんが、それでも子宮に通じる血管も収縮するのに違いはありません。
これも出来る限り予防的効果です。
3、妊婦には使えない鎮痛剤があるから
投薬も薬の直接的な作用や薬が母体に及ぼす作用から胎児に影響を受ける観察的な作用まであります。
これは三つの中で最も大きな影響を与える可能性があります。
でも一番の目的は心因性のものです、つまり緊張感が胎児に与える影響が最も強いです。
ましてできるだけ少量の麻酔をしても、必ず聞くとは限りません。痛いのを我慢させる事はなくても、痛みがないというわけでもないのです。
痛みが走ったときには子宮も急激に収縮するので、この辺を考慮して、安定期に限って最小限の治療をするのが通例です。
それ以外の場合でもできるだけ産科担当医との意思の疎通を行なうのが善しとされています。
但し、感染した場合や重度の痛みも胎児に対する影響が大きいので、このような場合は妊娠中だからと言って治療をしないほうが良くないことですし、初期の虫歯であれば妊娠中でも治療可能です。
更に歯周病では妊娠製歯肉炎と言ってホルモンのバランスの変化による歯肉炎が起きますから、むしろ月に一度くらい通って歯肉の状態を良くしておく必要があります。
ちなみに、妊娠中でなくても、最低限結婚している女性は常に妊娠を念頭においておきますし、妊娠可能な女性に対しても心の隅に意識しながら対応するのが医師として当然の事でしょう。
中には治療終了直後に妊娠と判ったり、婚姻していなくても妊娠していたというケースも少なくないですから。