ソプラノ、アルト、テナー、バリトンを吹いてました。
悩まれているということは、逆に言うと、今はまだどっちでも
いい時期と言うこともできます。いずれ「おれはアルト/テナーだ!」
と思う日が来るまで悩み続けていても一向に構わないと思います。
もっとも、安い楽器ではないんであらかじめ見当がつけばそれに
越したことはないでしょうが。
おやりになりたいジャンルがブラスバンド、吹奏楽に近いものならば
すでに寄せられている回答でよろしいでしょう(実際のところ
どれでも構わないと思います)。肺活量については、小学生の
女の子でもバリトンを担当できる事実を考慮してください。
(必要な息の量は楽器の大きさも確かに関係しますが
さらにマウスピース、リードのセッティングに大きく影響されます)
ジャズ、フュージョン系の場合、単に音域が上下に平行移動している
ものとしてではなく、それぞれの音色によって性格づけされた別の
楽器として認識されています。つまりアルトの音をそのまま低い周波数
に変更しても必ずしもいわゆる「テナー」のサウンドにはならないのです。
個人個人で音色はもちろん違いますが、おおまかにいえばアルトは
輝きのある響き、テナーは豪快な響きが期待されることが多いでしょう。
アルトはテナーに比べて小さいこともあり、比較的個人の吹き方に
よる音色の違いが出にくいようです。つまりアルトは安定しているとも
言えますが、誰でも似たような音になってしまうとも言えます。
テナーの方には、ぼきょーっと強く吹いたり、暗くぼそぼそ吹いてみたり
する面白さがあります。(これにはサブトーンと呼ばれるテクニックを、
テナーのほうが使いやすいということも影響しています)
また、サックスには特殊な指使い、喉の閉め具合によって無理矢理高い音を出す
フラジオ(ハーモニクス)というテクニックもあります(キョエーっと
盛りあがるところでよく聴かれます)。あまり高くなると音程のコントロール
が難しくなるので限界はありますが。一方低い音はどう頑張っても
管を長くしないかぎり出ませんから、結論としてテナーの方が音域が
広いとも言えます。
また、アルトはEb管、テナーはBb管です。それぞれの楽器用に移調
された譜面が用意されているならよいですが、いざギターやピアノ用の
譜面を読もうとすると、アルトなら全部の音を短三度下に読み替えて
吹かなければなりません。Cと書いてあったらラの指使いをしなければ
ならないのです(最初からピアノ譜だけを見てラの指使いを「ド」
だとして覚えてしまうなら別ですが。そうすると今度はアルト用の
譜面が読めなくなります)
一方、テナーも転調する必要はありますがBbとCで1音の違いだけなので、
訓練すればピアノ譜もテナー用の譜面もさほど苦労せずに読んで
吹いていくことができます。ジャズなどの場合ピアノ、ギター、
ベース、ボーカルのひとがひょいと持って来た譜面を端から覗いて
じゃあやってみよう、という状況が結構あります。そのときいちいち
「ちょっと待って、おれ用の譜面に移調するから…」とモタモタして
いては社会活動に支障が生まれます。
また、ソプラノもBbです。オクターブ違いですがまったく同じ指使いで
同じメロディを吹けるので、アルトとテナーの持ち替えよりも
ソプラノ&テナーの組み合わせのほうがずっと一般的です。アルトと
バリトン、またはソプラニーノも同じ指使いになりますがこれらは
ソプラノほど一般的でなく(ソプラニーノを現場でお目に掛かった
ことは今まで一度もありません)、また実際に持ちかえが効果的な
状況も少ないでしょう。アルトがある意味完成されている楽器だから
とも言えます。
というわけで、参考になったでしょうか。あまりいいたとえじゃない
でしょうが、アルトはメーカー製一体型パソコン(iMacのような)、
テナーは自作型パソコンみたいなところがあります。どちらも
あなたのやりたいことはできると思いますが、さあどうしますか。
お礼
音色と音域は難しい問題だと思います。ありがとうございました。