ずばり「自分の主張を持っている店」ですね。
オーディオは音楽をする手段の1つです。そして、音楽は芸術です。芸術に対する「良い・悪い」の評価には、主観が入らざるを得ません。逆にいえば、「自分が最も良いと信ずるものを追求する」ことが芸術であるともいえます。
しかるに、「自分が最も良いと信ずるものを追求」していないオーディオショップは、「最も良い音」を絶対に出せない店です。故に、そのような店で買い物をしても、絶対に良い音には巡り合えません。
もちろん、「良いと信ずる」ことと「独りよがり」は、全く別の話です。多様な価値観を認めた上で自分の道を行くのでなければ、それは単なる「独りよがり」に過ぎません。「多様な価値観」とは、客にはぞれぞれ思うところの「最も良い音」があって、それが店の主張とは必ずしも一致しない場合もある、ということです。したがって、さも悟りの境地に至ったかのように自慢する気配のある店は避けるべきです。
また、科学的に解明されていないことを、さも科学であるかのように宣うショップがあることにも注意が必要です。たとえ科学的でないにしても、日本語として話の筋が通っていることが必要で、論理の飛躍があるような文章を連発する店は、あまり信用なりません。
加えて、「プロの商人」である以上、客のリクエストには最大限答えるべきです。物理的・経済的に不可能な注文は別にして、「XXXなら****円以上かけなきゃダメ。あなたに売るような商品はありません」的な店は、論外です。つまり、たとえ予算の少ない客でも、その予算内で最大限の答えを提供できるだけの商品知識とノウハウがある店が、良い店といえます。
さらにいえば、たとえば「明るい音」「ガッツのある音」などといったとき、それが具体的にどんな音を指しているかは、人によって微妙にズレがあります。ある食べ物を「しょっぱい」というか「ちょうど良い塩加減」というか、人によって違いがあるのと同じです。しかるに、「明るい音にしたいです」という客に対して、「じゃあこれですね」と即答する店は、良い店ではありません。客の真のニーズを捉えていないからです。
ということで、まとめると、「さまざまな価値観があることを認識した上で、豊富な商品知識を有し、誠実な対応ができ、かつ自己主張のある店」が良いオーディオショップだといえるでしょう。
・・・・残念ながら、そんな店は多くはないようですが。